日刊スポーツ新聞社制定「第34回競輪年間三賞」の受賞者が決定した。MVPの殊勲賞は、高松宮記念杯と寛仁親王牌でGI2冠の脇本雄太(31=福井)が初めて手にした。敢闘賞はKEIRINグランプリ(GP)を制した和田健太郎(39=千葉)。技能賞には2年連続で松浦悠士(30=広島)が選ばれた。ガールズ最優秀選手賞は3年連続で児玉碧衣(25=福岡)が獲得した。

初めての殊勲賞に脇本雄太は「大変光栄です。でも、GPでは逃げたい気持ちが先走りすぎて2着だったし、納得はできない1年でした。この賞に満足せず頑張ります」と喜びとともに新たな決意を口にした。

本来なら東京五輪で輝く20年になるはずだった。2月に世界選手権ケイリンで銀メダルを獲得。五輪金が現実味を帯びてきた直後に、コロナ禍で五輪が延期された。それでも日本自転車連盟は、異例となる1年前に代表に選出。その期待に応え、20年初戦だった6月の和歌山高松宮記念杯は、同大会では23年ぶりとなる完全優勝。無念の思いを力に変え、10月の前橋寛仁親王牌も制した。

高松宮記念杯では自ら率先して行ったことがある。トップ選手らに協力を求めて集めたグッズをオークションに出し、医療従事者に寄付金を送った。医療現場の過酷な実態を知り、いてもたってもいられなかった。「今までなら自分が年下だったし誰かに乗る形だったけど、今回はすぐ動かないと、と思った」。日本代表の自覚、使命感に突き動かされた。

年明け早々には沖縄合宿で「あらためて五輪に向けて頑張る」と、競技仕様の肉体作りを再開している。五輪での金、そして年末のGP制覇へ。人生をかけた挑戦となる21年が始まった。

◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日、福井市生まれ。科学技術高卒。競輪学校(現養成所)94期生で在校成績は11位。08年7月福井でデビュー(1<1>(2))。18年いわき平オールスター、同前橋寛仁親王牌、19年松戸日本選手権、20年和歌山高松宮記念杯と前橋寛仁親王牌とGI優勝5度。20年ベルリン世界選手権ケイリンで銀メダル。通算765戦282勝。通算獲得賞金は7億713万7400円。180センチ、82キロ。血液型A。