前田光昭(52=埼玉)の闘争本能がよみがえった。

5Rはまくった向所浩二を追って2着争いに参戦。石渡鉄兵に競り負けたとはいえ、レース後は「生きてるって感じがしたね」とさわやかな笑顔も見せた。

昨年11月、住之江のレース中の事故で高次脳機能障害となり、引退の危機にひんした。だが、3月に復帰。前節三国は準優にも進んだ。「住之江の事故は全く覚えてないし、事故後は日常生活で話を聴いててもすぐに忘れてしまう症状が続いたんですよ。もう走れないと絶望感にも襲われました。でも、リハビリで何とか戻って来ました」と苦悩を話した。復帰後は「一瞬のハンドルの判断はまだ鈍い。でも走ってる時の恐怖はなくなりました。戦ってる時は夢中ですからね」。ボート界のマイク・タイソンと呼ばれた男が、3日目5Rもファイティングポーズを取る。