日刊スポーツ新聞社制定「第37回ボートレース年間三賞」の受賞者が決まった。技能賞はSGグランプリで悲願の初Vを果たした白井英治(45=山口)が初受賞した。今年も新型コロナウイルス感染拡大防止のため、表彰式典は行わない。(データは、日本モーターボート競走会提供)

    ◇    ◇    ◇

白井英治が技能賞を受賞した。「大変光栄です」と初の日刊三賞を喜んだ。

昨年は劇的なラストだった。大村で悲願のSGグランプリ(GP)を制した後、12月30日に年間獲得賞金トップを確定させるという、史上初の快挙を達成した。「自分を成長させることができた1年でした。逆転の年間獲得賞金トップは喜ばしいことではないかもしれませんが、いろいろな罰則を受けて、それでも(賞を)取れて最高の1年になりました」。

同8月の浜名湖SGメモリアル優勝戦でフライングを切った後、少ないチャンスを生かしてGPに出場。そして、初の優勝を決めた。「(メモリアルの)フライングは精神的にきつかったです。モチベーションが維持できたのは、師匠との約束のおかげだと思います」。師匠の今村豊さんが引退する時に「師匠が唯一、取れなかった賞金王を取る」という約束を果たし、表彰式で今村さんに金のヘルメットをかぶってもらい、最高の恩返しができた。

年またぎの徳山では、昨年12月30日に馬場貴也を抜き、逆転で“賞金王”もつかんだ。「ファンの方や周りの方の言葉が届いて、その期待に応えたかった」。声援を力に変えて栄光をつかんだ。今年は徳山で日本一早く優勝。続く下関は完全Vで締めて、年末への第1歩を進み始めた。

◆白井英治(しらい・えいじ)1976年(昭51)10月15日、山口県生まれ。80期生として97年5月下関でデビュー。初優勝は99年1月蒲郡。SG優勝は3度、G1優勝は13度。同期に平田忠則、香川素子らがいる。174センチ、55キロ。血液型O。

◆技能賞・選考 白井英治は、殊勲賞ポイントこそ馬場貴也に及ばなかったものの、200ポイントの大台に乗せた。この技能賞は、86年第1回の受賞者が白井の師匠である今村豊氏。白井が敬愛してやまない師匠に、36年の時を越えて、肩を並べることとなった。

◆選考委員 ▽東京 沢畠功二、中川純、窪寺伸行、木村重成、古村亮、湯田坂賢一、野島成浩 ▽西日本 吉富康雄、町田達彦、草川太郎、鎌田優、津波謙次、井筒靖明、山田敏明、浅田和則、神田成史、川尻将志、奈島宏樹、北條直治、東和弘、中嶋聡史、安井雅彦、栗原ひろ人、土居恒久、工藤浩伸、田中大樹、平田英治、前原一樹、迫信晴、山崎千郷、渕上知、中森亮、中牟田康、馬場勲、浦田由起夫

◆ボートレース三賞とは 日刊スポーツ新聞社が86年に創設した。公営競技の三賞ではもっとも歴史があり、殊勲、敢闘、技能に特別(主に女子から選出)の4部門がある。

殊勲賞 1節で優出した6選手にポイントを与える。17年までSG優出ポイントは8競走すべて同じだったが、18年から王者決定戦であるグランプリ優勝を100に。クラシック、オールスター、メモリアル、ダービーの4大競走Vを70にアップして集計。これらの合計点で決定する。

敢闘賞 年間連対(1、2着)回数を争う。グレード競走、一般戦に関係なく、どのレースの連対も同じ価値とする。連対回数が同じ場合は1着回数の多い選手を優先する。

技能賞 殊勲賞のようなポイント制ではなく、スタート力、ターン技術、ファンへのアピール度など選手の個性に着目する。

特別賞 主に女子選手の優秀者を選出する。