石野貴之(40=大阪)が誰も寄せ付けない文句なしのイン逃げで、17年福岡以来、2度目のオールスター優勝を飾った。

これでSG・10冠目で、賞金ランクはトップに浮上。年末、地元住之江で開催されるSGグランプリ出場に大前進した。2着は浜野谷憲吾。女子2人目のSG制覇を狙った倉持莉々は道中接戦の末、3着と奮闘した。

優勝した石野貴之は笑顔でガッツポーズ(撮影・岩下翔太)
優勝した石野貴之は笑顔でガッツポーズ(撮影・岩下翔太)

絶好のチャンスを逃さなかった。準優1枠で勝ち上がったのは1人だけ。巡ってきた絶好枠を難なくものにして、2度目のオールスター制覇を飾った。


ゴール後に、大きく両手を挙げてガッツポーズ。「お客さんの方に向かってガッツポーズをしたかった。ウイニングランのときも、大阪から来たよと言ってもらってうれしかった」。今回からSGの入場制限が解かれて、スタンドには多くのファンが詰めかけた。久しく聞いてなかった大歓声に、喜びを隠しきれなかった。

優勝戦1周2Mを先頭で旋回する1号艇・石野貴之(撮影・岩下翔太)
優勝戦1周2Mを先頭で旋回する1号艇・石野貴之(撮影・岩下翔太)

まさに完璧なイン逃げだった。コンマ12のスタートを決めると、余裕を持って1Mへ。誰にも何もさせず、バックで後続を一気に引き離した。「いい集中力でゾーンに入れて、負ける要素が見つからない気がしていた。(今までで)一番ゾーンに入っていたかも」。14号機も万全の状態で、節一級に仕立てた。加えて、抜群の集中力。勝つべくして勝った。

表彰式で優勝カップを掲げる石野貴之(撮影・岩下翔太)
表彰式で優勝カップを掲げる石野貴之(撮影・岩下翔太)

表彰式のインタビューで笑顔を見せる石野貴之(撮影・岩下翔太)
表彰式のインタビューで笑顔を見せる石野貴之(撮影・岩下翔太)

SGは10度目の優勝。池田浩二や引退した植木通彦さんらに並び、歴代5位に浮上した。それでも目指す先は、まだ上にある。「まずは松井(繁)さんの12回、偉大な先輩を超えるのが当面の目標。40億円は無理です(笑い)」と話した。


これで今年の獲得賞金は7000万円を超え、賞金ランクでトップに立った。地元グランプリ出場へ大前進だ。「あまり早くに決めて、中だるみした年もあったので。1年間、集中して走りたい」。年末、ボートレース界の頂点に立つために気を緩めることなく、次の戦いに向かう。【栗原ひろ人】

優勝戦1着の石野貴之(中央)2着の浜野谷憲吾(左)3着の倉持莉々は金、銀、銅メダルを掲げる(撮影・岩下翔太)
優勝戦1着の石野貴之(中央)2着の浜野谷憲吾(左)3着の倉持莉々は金、銀、銅メダルを掲げる(撮影・岩下翔太)

◆石野貴之(いしの・たかゆき)1982年(昭57)6月3日、大阪府生まれ。90期生として02年5月、住之江でデビュー。03年10月宮島で初優勝。通算優勝67度目で、SG優勝は10度目。G1は9度の優勝がある。同期は吉田拡郎、赤坂俊輔、渡辺雄一郎、宇野弥生ら。165センチ、51キロ。血液型O。