黒川勇(53=栃木)が、今月いっぱいで32年の現役生活に終止符を打つ。

混戦で大外を突き抜けてくる差し足は、たびたび高配当を演出してきた。しかし、フレームの角度規制、ギア規制などが、全てベテランの追い込みには不利に働いてしまった。

「レベルが格段に上がりましたね。もう、ヨコに動けるスピードじゃないし、最近は後ろに付いていても苦しかった。本音は55歳までやりたかったけどね…」と未練もチラリ。

デビュー戦は、センセーショナルだった。「久留米で完全優勝しました。その時、加倉(正義)が<2><2>(2)だったんですよ。あそこがピークだったな」と自虐的に笑った。

引退が決まっても、レースに臨む気持ちは切れていない。「まだ高松と京王閣が残っている。できれば、月末の青森にも補充で呼んでもらいたい。仲のいい渡辺藤男さんに見届けてほしいんですよ」。

最後の最後まで穴党ファンを喜ばすチャンスは残っている。