東アジアE-1選手権の男子は19日に開幕し、4大会ぶりの優勝を目指す日本は初戦で香港と対戦する。国内組にとってはワールドカップ(W杯)カタール大会代表メンバー入りへのラストチャンス。欧州組で陣容がほぼ固まりつつある森保ジャパンに今から滑り込むのは簡単ではないかもしれないが、国際Aマッチ期間外に開催される同大会は貴重なアピールの場。日本代表の強化の過程にも欠かせなくなっている。

2003年の第1回大会以降、同大会で国際Aマッチデビューは52人おり、いずれも当時の所属は国内のチーム。過去8大会で日本の優勝は13年の1度だけだが、その後に飛躍を遂げた選手は多く、日本代表の主力への登竜門としても定着している(以下、年齢と所属は当時)。

ジーコ監督時代の05年大会から新戦力の台頭は続く。ヘディングの強さを武器に06年W杯ドイツ大会でサプライズ選出されたFW巻誠一郎(24=千葉)、10年W杯南アフリカ大会に出場したDF駒野友一(24=広島)とDF今野泰幸(22=東京)も代表初出場は05年の東アジアの舞台だった。3大会連続でW杯に出場しているGK川島永嗣(24=川崎F)も岡田武史監督の下、08年大会で国際Aマッチ初出場を果たしている。

優勝したザッケローニ監督時代の13年大会ではDF森重真人(26=東京)、MF山口蛍(22=C大阪)、FW柿谷曜一朗(23=C大阪)らが活躍を認められ、1年後の14年W杯ブラジル大会の切符をつかんだ。現在の日本代表のエースFW大迫勇也(23=鹿島)も13年大会の中国戦で代表デビューし、続くオーストラリア戦で初ゴールを含む2得点を挙げて自信を深めた。

現在の森保ジャパンの主力であるMF遠藤航(22=湘南)とFW浅野拓磨(20=広島)は15年大会、FW伊東純也(24=柏)は17年大会、MF田中碧(21=川崎F)も前回の19年大会でその潜在能力の高さをアピール。今ではチームに欠かせない存在となっている。

今大会の日本代表メンバー26人中、初選出は11人。国際Aマッチ出場数1桁台が22人を占める。森保監督は「優勝することを目標に戦いたい。国内組の選手の価値を高めたい」と話していたが、代表経験の少ない国内組の活躍の場が東アジアE-1選手権。パリ五輪世代から抜てきされた柏FW細谷真大(20)や横浜MF藤田譲瑠チマ(20)ら若手にとっては日本代表常連への第1歩となる。


<東アジアE-1選手権で日本代表デビュー>(所属は当時、★はW杯日本代表経験者)

▼2003年大会

山田卓也(東京V)石川直宏(東京)

▼2005年大会

巻誠一郎(★千葉)田中達也(浦和)駒野友一(★広島)村井慎二(磐田)今野泰幸(★東京)

▼2008年大会

川島永嗣(★川崎F)安田理大(G大阪)田代有三(鹿島)

▼2013年大会

森重真人(★東京)工藤壮人(柏)斎藤学(★横浜)山口蛍(★C大阪)青山敏弘(★広島)高萩洋次郎(広島)柿谷曜一朗(★C大阪)大迫勇也(★鹿島)鈴木大輔(柏)千葉和彦(広島)山田大記(磐田)扇原貴宏(C大阪)豊田陽平(鳥栖)

▼2015年大会

遠藤航(★湘南)武藤雄樹(浦和)浅野拓磨(広島)藤田直之(鳥栖)倉田秋(G大阪)東口順昭(★G大阪)丹羽大輝(G大阪)米倉恒貴(G大阪)

▼2017年大会

中村航輔(★柏)室屋成(東京)伊東純也(柏)阿部浩之(川崎F)三浦弦太(G大阪)山本脩斗(鹿島)植田直通(★鹿島)土居聖真(鹿島)三竿健斗(鹿島)

▼2019年大会

橋岡大樹(浦和)相馬勇紀(鹿島)遠藤渓太(横浜)田川亨介(東京)森島司(広島)菅大輝(札幌)田中駿汰(大体大)渡辺剛(東京)古賀太陽(柏)仲川輝人(横浜)田中碧(川崎F)小川航基(水戸)

細谷真大(2021年10月26日撮影)
細谷真大(2021年10月26日撮影)
横浜藤田譲瑠チマ(22年6月25日撮影)
横浜藤田譲瑠チマ(22年6月25日撮影)