E-1選手権の初戦で、日本は中国を2-1で下したが、試合を支配したとは言い難い。90分間の中で波があり、終盤は相手に押し込まれて下がってしまい、押し返す力がなかった。両チームとも当たりの激しさはあったけど、スピード感が乏しく、エキサイティングな印象はなかった。

確かに互いにベストメンバーではなく、大会そのものの位置づけは難しい。Jリーグが終わったばかりで選手の疲労は大きいし、代表歴が少ない選手はナーバスにもなったろう。さらに客席はガラガラで、プライドも傷つくよ。森保監督も選手の起用法は難しかったと思う。例えば「東京五輪に向けてオーバーエージを探す」とか、具体的な狙いがうかがえなかった。

これまでの4バックから3バックに変えたことが注目されたが、A代表のレギュラーメンバーでやらなければ、バリエーションを増やすという意味にはならない。実際はボランチとの連係の問題もあり、危ない場面がいくつもあった。このままでは韓国にはやられてしまいそうだ。

攻撃では、素晴らしい連動から先制点を奪ったが、その後は流れの中からのチャンスが少なすぎた。全体的にレギュラー陣との差が大きい。そんな中、この中国戦には出なかったが、今季のJリーグMVPとなった仲川が今大会の残り試合でどこまでできるか、楽しみだ。今後のA代表に残れるか、今回不在の欧州組との争いに挑んでほしい。(日刊スポーツ評論家)