W杯(ワールドカップ)ロシア大会による中断期間が終わり、J1はいよいよ7月18日から再開する。12年の昇格以来、クラブ最大の危機と言えるJ2自動降格圏17位に低迷するサガン鳥栖は、敵地での湘南ベルマーレ戦から巻き返しを図る。7月10日に元スペイン代表FWフェルナンドトレス(34)の新加入がクラブから正式発表された。だが今後の浮沈のキーマンとなるのは、韓国Kリーグ蔚山から電撃復帰となった元日本代表FW豊田陽平(33)ではないかと思っている。

 5月に行われたサポーターとクラブのミーティングで、ファンから打開策として「豊田選手を復帰させてください」と直訴され、竹原稔社長(57)は12月末まで契約を残す豊田復帰を前向きに検討し実現させた。

 マッシモ・フィッカデンティ監督(50)体制下、ボールポゼッションからパスをつなぐ戦術が重要視された昨季。それまでのロングボール主体の攻撃スタイルで前線のターゲットとなってきた豊田の出場機会は減り、10年の鳥栖加入後最少の28試合5得点と精彩を欠いた経緯がある。蔚山でもリーグ9試合2得点、ACL7試合に出場と目立つ活躍はできなかった。だが攻守に泥臭く動き回るプレースタイルは、異国での経験もプラスに進化を遂げているはずだ。わずか半年ででもどりとなった悔しさも忘れてはいけない。

 フェルナンドトレスの加入に加え、元コロンビア代表FWビクトル・イバルボ(28)の存在や若手のFW田川亨介(19)の台頭もありライバルは多く、これから真価が問われるのは間違いない。鳥栖で主将も務めた豊田には熾烈(しれつ)なポジション争いで、さらなる高みを目指してもらいたい。【菊川光一】

 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球ソフトバンクの担当カメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。