<アジア大会・サッカー:日本1-3北朝鮮>◇女子決勝◇1日◇韓国・仁川文鶴競技場

 なでしこジャパン(FIFAランク3位)が大会史上3カ国目の2連覇を逃した。3大会連続同一カードの決勝で北朝鮮(同11位)に完敗。アジア相手では2309日ぶりの3失点を喫し、国際Aマッチ8戦連続完封の新記録も逃した。来年のW杯カナダ大会とリオデジャネイロ五輪予選へ、底上げに課題を残す銀メダルとなった。

 統一旗が揺れる観客席への北朝鮮のウイニングランを、日本は遠い目で見つめていた。アジアで3失点したのは08年6月5日の中国戦(1-3)以来、約6年4カ月ぶり。06年敗北、10年勝利と過去2大会の決勝を争った相手にリベンジされた。その北朝鮮と中国しか達成していない連覇に挑み、はね返された。

 完敗だった。前半12分、右FKから先制点を奪われると、後半7分にカウンターで追加点。日本も後半11分、MF川澄の右クロスに走り込んだMF宮間が右足で流し込んだが、後半42分に再び3点目を許した。敵ながら美しい速攻に、宮間は「負けて情けないけど、カウンターの質が相当高かった。(2点目を取った)10番の質とタイミングは完璧」。13年東アジア杯で韓国に敗れた時は号泣した主将が、潔く完敗を認めた。

 今大会のテーマは国内組の底上げと新戦力の発掘だった。MF澤らベテラン組とFW大儀見ら海外組が不在の中、来年のW杯とリオ五輪予選に向け、10代のFW増矢とDF羽座を含む18人全員を起用した。決勝も初代表の増矢、DF臼井を先発起用。その結果、負けた。シュート数は6対13。1試合平均24対2本だった準決勝までの相手とのギャップに面食らい、臼井は「全然レベルが違って後手後手になった」と反省した。

 3月のアルガルベ杯決勝ドイツ戦以来13戦ぶりの黒星で、02~03年に記録した7戦連続完封の記録も更新できなかった。レギュラー陣を脅かす新星も現れなかった。佐々木則夫監督(56)は「若手も中堅も、この負けから学んでほしい。言い訳せず、次への糧、起爆剤にしなければならない」。リオ五輪のアジア大陸枠は現行なら「2」。狭き門を争うライバルに完敗した現状を受け止めて、それぞれが帰国後に自分を高めるしかない。この先「意味ある銀メダルだった」と言えるように。【木下淳】