アルビレックス新潟はMF高木善朗(31)が0-1の後半アディショナルタイム4分に劇的ゴールを奪い、サンフレッチェ広島と1-1で引き分けた。試合は前半28分、MF宮本英治(25)が負傷退場。同33分には左DF早川史哉(30)が一発退場するなど、早々にプランが崩れた。1人少ない数的不利な状況に立たされてもしぶとく守ったが、後半25分に右CKから先制点を献上。苦しい展開の中、途中投入された高木、MFダニーロ・ゴメス(25)が得点に絡み、ホームでしぶとく勝ち点1を積み上げた。

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新潟の「KING」が劇的同点弾を決めた。高木は0-1の最終盤。後半21分に同時投入されたゴメスの突破を横目で見ながらゆっくりとペナルティーエリア付近に進入。最後は相手のクリアボールに素早く反応し、滑り込みながら右足を合わせた。「ボールとゴールしか見ていなかった。イメージ通り」。今季初ゴール後は胸のエンブレムをつかみながら雄たけびを上げ、サポーターの声援に応えた。

「最後、10人でしたけど、最後はみんなで出し切る感じでゴール前に走り込めた」

前半に宮本の負傷退場、早川のラフプレーによる一発退場などアクシデントが続いた。「(早川は)責任を感じていたと思う。ここで負けられないと思った」。熱い思いを持ち、ゴメス、FW長倉幹樹(24)とともに後半途中からピッチに入るも、直後に失点。敗色濃厚となったが、2万人を超える新潟サポーターの声援、数的不利な状況でも戦い続けた仲間の思いが、高木の足を突き動かした。「普段やっていないポジションでプレーする選手もいた。しっかり仕事がしたかった」。

この日は元プロ野球選手の父高木豊氏(65)がスタジアムに来場。キックオフ前には子どもたち向けの野球教室やトークショーを開催し、大型連休のイベントを盛り上げた。父豊氏が来場した昨季8月12日の湘南ベルマーレ戦でも2得点の活躍を見せていた高木は「ゴールを奪って欲しい」という父からのエールに今年も応えた。

中2日の次節6日は、アウェーでヴィッセル神戸と対戦する。2戦連続ゴールの期待が懸かるエースは「この勝ち点1をつなげるためにも次が一番大事。特に大事に戦いたい」と闘志を口にした。【小林忠】

○…MF星雄次(31)が退場した早川に代わり左サイドバック(SB)で緊急出場し、オールラウンダーぶりを発揮した。前半37分からピッチに立って守備を支え、攻撃では運動量を生かして攻め上がった。もともと本職であるSBでのプレーは約4年ぶり(大分時代の18~20年)と苦笑いしたが、「違和感なくできた。与えられたところで求められたことをやる」。左SBは現在、主将のDF堀米悠斗(29)と森璃太(22)が負傷離脱中。早川は次節神戸線は出場停止となる。星を横浜マリノスユース時代にも指導した松橋力蔵監督(55)は、「(星には)しばらくは左でプレーしてもらうかもしれない」と左SBでの起用を示唆した。