MF長沢が、代表デビュー戦で世界5位と渡り合った。逆三角形の右MFで初先発すると、序盤からハイプレスでボール保持者を脅かす。MF山口やFW浅野と挟み込むなど、J1先発わずか3試合と思えない落ち着きで歯車となり、相手主将フェルトンゲンに「日本のプレスが力強く、最初は逃れることが難しかった」と言わしめた。

 13年、専大からJリーグを経由せずドイツ2部ケルン入り。優勝と1部昇格に貢献した。翌年、当時ウォルフスブルクにいたベルギーの司令塔デブルイネとも対戦。「ドイツにいた時の感覚に近かった」と闘志を呼び覚まされた試合で、大男たちの懐に低く潜った。

 後半17分に退くと、肩を息で大きく揺らし完全燃焼。ハリルホジッチ監督から「初めてにしては本当に良かった。簡単ではない相手とのテストだったが、私を満足させた」と合格点をもらった。「もう少し攻撃に顔を出してほしい」の注文も期待の裏返しだろう。

 W杯前年の欧州遠征では09年の本田や13年の大迫らが台頭した。「(浦和で)数試合しか出ていない中で呼んでもらえた。チャンスでアピールしていくしかない」姿勢で一発回答し、系譜の一端に長沢の名を刻んだ。試合後は、中3日でアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝第1戦が行われるサウジアラビアへ直行。アジア王者を目指す戦いで、また進化する。【木下淳】