国内組で臨んだ日本(FIFAランキング55位)が北朝鮮(同114位)に1-0で勝ち、白星スタートを飾った。国際Aマッチ初出場のGK中村航輔(22=柏レイソル)が、再三のピンチで好セーブを連発し、完封勝利に貢献した。15年の前回大会、ハリルホジッチ監督体制5戦目で初黒星を喫した相手に雪辱した。日本は12日に中国、16日に韓国と対戦する。

 中村は勝利を告げる笛を聞き、夜空へ静かに両拳を突き上げた。「結果を出すことがまずは1番だった」。カウンターで守備陣の裏を狙う北朝鮮に何度も決定機をつくられたが、背番号「12」が壁となって立ちはだかった。

 中村の独壇場だった。前半27分にはFWキム・ユソンのシュートを素早い反応ではじき出し、こぼれ球に反応したMFリ・ウンチョルのダイビングヘッドでのシュートもしっかりとキャッチ。後半24分にも左サイドからのクロスに合わせたFWチョン・イルグァンのヘディングシュートを横っ跳びではじき出した。攻撃陣がなかなかゴールを奪えなかっただけに、完封した姿が際立った。ハリルホジッチ監督は苦しい展開を救った守護神を「中村が解決策を示してくれた」と手放しで評価した。

 5月の初招集後、代表メンバーに名を連ねてきたが、11月の欧州遠征から漏れた。悔しさを晴らすように所属の柏では、リーグ最終節まで3戦連続無失点。ベストイレブンにも選出された。この日も「変わらずいつも通りプレーできました」と胸を張った。

 趣味は「頭を使ったり、相手を読むのが好き」という将棋。柏の松本コーチは「賢い。DF陣に声を出して動かし、事前に相手の選択肢を狭めている。目に見えないファインプレーが多い」と太鼓判を押す。この日も連係不足で不安定だった守備を最後方で支えた。

 メッス川島やクラブW杯出場の浦和西川が招集されない中、巡ってきたチャンスで仕事をした意味は大きい。10年W杯の直前には好パフォーマンスをみせた川島が、当時正GKだった楢崎に本番でとって代わった例もある。「まだ1試合ですけど、ゼロで抑えられたことは非常に良かった。これから苦しい試合を乗り切って、日本を背負って立ちたいですね」。中村が日本の新守護神へ名乗りをあげた。【松尾幸之介】

 ◆中村航輔(なかむら・こうすけ)1995年(平7)2月27日、東京都生まれ。小学1年でサッカーを始める。各ポジションを経験したが、02年W杯日韓大会でドイツ代表GKカーンのプレーをみてGKに専念。小学5年で柏の下部組織に加入し、15年まで所属。15年にJ2福岡に期限付き移籍し、翌年復帰。16年Jリーグ優秀選手賞、17年ベストイレブン受賞。U-15(15歳以下)から年代別日本代表。趣味は将棋。184センチ、72キロ。