国際親善試合キリンチャレンジ杯コロンビア戦(22日、日産ス)ボリビア戦(26日、ノエスタ)に臨む日本代表メンバーが14日、東京・JFAハウスで発表され、トルコ1部ベシクタシュのMF香川真司(29)が約9カ月ぶりに復帰した。

昨夏のW杯ロシア大会以来で、森保一監督(50)の就任後初めて。ドルトムントから期限付き移籍後、5試合3得点1アシストの攻撃力を新生ジャパンにもたらし、トップ下の競争では南野拓実(24=ザルツブルク)の壁になる。

20代最後のメンバー発表で、香川が日本代表に返り咲いた。19歳で平成生まれ最速の代表デビューを果たした男が、3月17日に30歳の誕生日を迎え、平成最後の代表戦へ向かう。歩みに自負を込めて「自分の経験や立場を代表に活かして いいスタートが切れるように全力をつくします」と決意のツイートを更新した。

納得して舞い戻る。今冬移籍したベシクタシュで5試合3得点1アシスト。2月3日アンタルヤスポル戦では、欧州日本人最速の「出場16秒弾」を含む3分間2発の衝撃トルコデビューを飾った。2月末に左鼠径(そけい)部を負傷も、3月10日のコンヤスポル戦で決勝弾と心配無用。「楽しみ。呼ばれた時の準備はできている」と心身は整っていた。森保監督も「力があることはロシアから分かっている。就任後ずっと招集したいと思っていた」。満を持しての選出となった。

復帰が、森保ジャパンを次のステージに上げる。今年1月のアジア杯UAE大会は自身の不在が響き、2大会ぶりの優勝を逃した。その時期、当人は移籍がまとまらない難しい状況にあったが、日本の全7試合は映像で確認していた。「最後は負けたけど、可能性を非常に感じた。これから南米選手権もあるし、W杯(22年カタール大会)まで3年ある。楽しみなチームになっていくという印象」を素直に受けた。若返った2列目の南野、堂安が突き抜け切れなかった中、自らが壁になることで成長は加速する。融合が能力を引き出す。特にセレッソ大阪の後輩南野が学ぶことは多い。森保監督が繰り返す「経験ある選手が、浅い選手に伝えてほしい」を体現し、手本になる-。最適任者が香川だ。

相手も舞台も、申し分ない。コロンビアとは、先制PKを決めて2大会ぶりの勝利に導いたW杯初戦以来の対戦。ボリビアは、地元神戸に迎え撃つ。平成元年に生を受けた故郷で、平成最後の代表戦。「ワールドカップ以来の代表で地元神戸で試合ができる事、コロンビアとの再戦。何か縁を感じます」とツイートした通り、運命を感じずにはいられない。健在を示す以外に、道はない。【木下淳】