W杯7大会連続出場を目指す森保ジャパンに、大阪の悲劇が起きた。アジア最終予選初戦で日本(FIFAランク24位)はオマーン(同79位)と対戦。終了間際の失点で0-1と敗れ、過去9勝3分けだった格下に歴史的敗戦を喫した。黒星発進は2大会連続。ドーハの悲劇を体験した森保一監督(53)率いる日本は、7日(日本時間8日午前0時)に中立地ドーハで中国との第2戦(アウェー扱い)が待つ。各組2位までが本大会出場権を獲得、3位同士の勝者が大陸間プレーオフに回る。

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試合後、ドーハに旅立つ日本には、あまりにも悲劇的で皮肉な結末だった。過去12戦で負けたことがない格下オマーンに、引き分けを覚悟した後半43分だ。自陣左サイドを破られ、MF柴崎がクロスを許す。ゴール前で植田、吉田らDFの人数は足りていたが、ボールを見守る形で決勝点を与えた。本降りの雨は涙雨へと変わった。

「想定外というか、主導権を握ることができなかった。そう簡単な試合にはならないと思っていた。難しい試合になった」と森保監督。失点の場面は「試合前から気をつけていたところ」。セカンドボールを拾えず、ワンツーで自陣深く進入を許した。

34歳ながらパワフルに動き回ったDF長友は「相手のブロックを崩すことができなかった。あり得ない敗戦」と、自虐的に振り返るしかなかった。

後半終了間際にイラクに同点を許し、目前だったW杯初出場を逃がした93年の“ドーハの悲劇”。この日と同じ左を破られ、MFで出場していた森保監督の上をクロスが通過し、失点した。似た光景が28年後、大阪で起きてしまった。

試合はJリーグ復帰したFW大迫が、切れ味抜群のポストプレーで好機を演出した。MF伊東らがゴールに襲いかかり、得点の予感はした。だが、W杯出場経験のないオマーンは接点での強度が高く、互角以上にペースを握られた。

MF久保や堂安ら東京五輪組を吸収し、最強日本を築くはずだった。ただ、この試合はDF冨安らが不参加、試合前日にはMF板倉が負傷離脱。予選出場7試合連続得点中のMF南野は、左太もも痛でベンチで見守るしかなかった。

前回のアジア最終予選でも初戦のUAE戦で、まさかの逆転負け。5年前の最終予選のピッチに立ったのは、この日ベンチ入りした22人の中に長友ら9人いた。指揮官は「その経験値もあり、最大の力を発揮しようと臨んでくれていた。この敗戦は我々が取り返すしかない」と話した。

ドーハの悲劇と違うのは、この敗戦でもW杯の道は途絶えていないこと。残りは9試合ある。ドーハで逆境をはね返したい。【横田和幸】

◆大阪でのW杯最終予選 6月の2次予選もパナスタで2試合行われたが、最終予選の大阪開催は今回が初。93年のJ発足後は東京・国立で4試合(2勝1分け1敗)、横浜・日産スタジアムで3試合(1勝2分け)、埼玉スタジアムで最多13試合(10勝2分け1敗)。14年ブラジル大会と18年ロシア大会のホームでの最終予選9試合は全て埼スタで行われ、埼玉以外は09年6月10日のカタール戦での日産スタ以来12年ぶり。埼スタでは不敗神話もあり、前回の最終予選初戦(16年9月1日)UAE戦で敗れたことで、不敗神話は18試合で途切れた。