日本代表は2月1日、W杯アジア最終予選のホーム、サウジアラビア戦(埼玉)に臨む。B組首位を走る相手との天王山。本大会出場を確定させる2位以内死守へ、勝敗が大きく行方を左右する。森保一監督(53)は、2-0で勝利した27日の中国戦から布陣を継続する方針。泰然自若の構えで、10月にアウェーで敗れた借りを返す。

   ◇   ◇   ◇

冷たい風が吹く埼玉のピッチ。円陣が解かれ選手たちがランニングを始めると、森保監督はいつも通り、遠く離れたところに立って練習を見守った。「我々が勝ってW杯への道をつなげていく、その気持ちを強く持って戦うことを(選手に)伝えている」。10月に完全アウェーの中で多くのチャンスを作りながら、敗れた相手サウジアラビア。「アジアで同じ相手に2度負けられない」。相手への敬意を口にしつつも、にじみ出る意地があった。

その敗戦から、ここまで4連勝。自身の進退問題も噴出していた直後のオーストラリア戦で採用した4-3-3がはまり、B組2位まで盛り返した。だが「(序盤に)2敗した時点で…勝ち続けることで、W杯に出場できるというところ。それを毎試合共有している」。3位オーストラリアとの勝ち点差は1。得失点差は差をつけられている。あとがない危機感は常に、チームについてまわる。

選手起用は「基本的には中国戦の選手をベースに」と継続路線。中国戦では左SBのDF長友が低調に終わり、途中出場のDF中山がアシストを記録したことから起用に批判も出たが「チームにとってプラスになる交代枠の使い方ができていると思う」と指揮官。枠が3から5に増えたこととチームの事情を見極めた最適解だという自信のもと、采配は揺るがない。

W杯イヤーを迎えた正月。いつもどおり近所に神社で親族の健康を願った。W杯出場を神に祈ることはしない。DF吉田、冨安の鉄板CBコンビが不在になっても、コロナ禍や自然災害とアクシデントはさんざん経験してきたから動じない。「想定外のことが起こることも乗り越えていって、目標を達成しないといけない」。1度はかすみかけたW杯に大きく近づく勝利を、自らの手腕でつかむ。【岡崎悠利】