パリ五輪(オリンピック)アジア最終予選を兼ねる大会で、日本(B組2位)が開催国のカタール(A組1位)を延長戦の末に4-2と破り、4強に進出した。

準決勝は、イラク(C組1位)とベトナム(D組2位)の勝者と29日(日本時間30日午前2時半)に対戦。今大会3枠のパリ切符まで、あと1勝と迫った。

1次リーグ最終戦でライバル韓国に0-1と敗れ、2位進出となった日本。優勝候補と評判の強敵を相手に、開始早々に先取点を奪った。前半2分、右サイドバック関根大輝の前線へのロングボールを起点に。相手選手の不用意なバックパスをMF山田楓喜がカットするとドリブルで持ち込み、エリア外から豪快に左足を振り抜く。ゴール右に鮮やかに突き刺さった。

その後も日本が攻め立てる。アンカーの藤田譲瑠チマがボールを散らし、インサイドハーフの山本理仁、松木玖生が攻撃の組立役に。左から佐藤恵允がドリブル突破を仕掛け、1トップのエース細谷真大がゴールに潜り込む。守護神小久保玲王ブライアンが最後尾で構え、DFラインは木村誠二と高井幸大が中央を固める。攻撃となれば右の関根と左の大畑歩夢の両サイドバックが果敢にオーバーラップを仕掛ける。序盤は日本が優勢に試合を進めた。

しかし前半24分に追いつかれた。左サイドからDFヤジディに入れられたピンポイントクロス。19歳FWラウィに頭で合わせられ、1-1となった。ちなみにラウィはカタール1部アルラヤン所属で日本代表DF谷口彰悟の同僚。

一進一退の攻防が続く中、前半38分に日本が決定機を作った。左サイドから松木がマーカーを背負いながら素早い切り返しからゴール前へ速いクロスボールを送る。細谷が右足を伸ばしたがわずかに届かず。シュートはゴール右に外れた。

日本に追い風が吹いた。前半39分、ゴール前への縦パスに細谷が鋭く走り込む。飛び出してきたGKがエリア外でヘディングでクリアしながら細谷の腹部に足が入った。VAR介入で主審がオンフィールドレビューを行い、GKアブドゥラーにレッドカードを提示した。数的優位。このFKのチャンスでは、ボールを少しずらしたところ松木が左足でシュートを放つが、相手のブロックに阻まれた。

1人少ないカタールに対し、日本は後半開始から松木を下げてFW藤尾翔太を入れる。前に人数をかけて得点を狙った。しかし狙いとは裏腹にセットプレーから失点してしまう。後半4分、日本陣内でのFK。ゴール前へのクロスボールをMFジャービルに頭で合わせられた。まさかの失点で1-2とリードを許した。

日本は右サイドの関根、山田の連係からゴール前へグラウンダーのクロスを次々と送り込む。好機を多く作るが、カタールはゴール前に人数をかけて1点のリードを守りにかかる。ボール保持率は70%超を記録。敵陣に押し込んでのハーフコートゲームを展開する。すると後半22分、山本の右CKから木村が頭で押し込み2-2の同点とした。

後半38分、佐藤からMF平河悠に交代。さらにアディショナルタイムに山田を下げてMF荒木遼太郎をピッチに送った。

そして延長前半11分、決勝点が生まれた。リスタートから細かくつなぎ、荒木の素早く正確なパスを受けたFW細谷が巧みに相手選手の前に入り右足でシュート。値千金のゴールとなった。細谷には今大会うれしい初ゴールとなった。

延長後半から山本から川崎颯太へ、細谷からFW内野航太郎へスイッチした。カタールが入れてくるクロスボールをチームが一体になってはね返す。各選手が休むことなくハードワークを繰り返す。その7分には川崎がシュートしたボールをGKがゴール前へこぼしたところ、内野が押し込み2点差とした。大畑を下げてDF半田陸を投入。日本は交代カード6枚をすべて使い切った。

延長後半に大岩監督がイエローカードをもらう場面もあったが、危なげなく試合終了。4強進出を果たした。次戦に勝てばパリ五輪出場が決まる。