【済南(中国)4日=鎌田直秀】FW丸山桂里奈(28=千葉)が、過酷日程が続くなでしこジャパンに笑いを振りまき、ムードメーカー役を買って出た。「私はお笑い担当ですよ」。おどける姿は中1日で激闘を続ける選手を癒やしている。この日、25歳の誕生日を迎えたGK海堀あゆみ(INAC)の誕生会では、ドイツに続き、バースデーソングを熱唱。また、本業のサッカーでも、スーパーサブとして万全の準備をしており、ぬかりはない。

 FW丸山のリップサービスは止まらない。おもむろに手を広げ、ネイルを披露した。大会前に日本でやってもらった完璧ネイル。ロンドンで目指す金色を使って「T」「K」の2文字が目立つ。「彼氏?

 沢さんにも『タナカ・ケンジって彼氏でしょ』って言われました。そうならいいんですけど父と母の頭文字です」。長い付けまつげをした大きな目で笑った。

 今日対戦するオーストラリアが、以前に活動資金確保のためにヌード写真集を発売したと聞くと「うちらが出したら相当やばいと思いますよ。みなさん見たいですか?

 でもおもしろいって売れるかもしれない。腹筋割れているところとか見せますよ」。まんざらでもない様子で笑った。

 練習後にはホテルでGK海堀の誕生日会が予定されており、「もちろん歌うことになると思います」。W杯後に着うた歌手としてデビュー。プロとしての初任務も喜んでまっとうする。

 もちろん試合に向けた準備も怠ってはいない。前日3日の韓国戦後は「私、めっちゃ調子いいっすよ。絶対試合出たかった」と悔しい表情を見せた。この日はその鬱憤(うっぷん)を晴らし、キレキレのドリブルを繰り返した。

 「(直前合宿地の)岡山では体が重かった」と、先発争いから脱落していた。それが、ここ数日で体のキレが戻ってきた。「監督にもドリブルで仕掛けろ、と言われている。今日は抜く度に『ウオー!!』って声をかけてくれ、自信を取り戻させようとしてくれている」。指揮官のさりげない声のアシストに、丸山はますますやる気をみなぎらす。

 ここまで今大会は出場機会なし。「私は出られない悔しい気持ちを、ためてためてためて吐き出すタイプ。今は?

 たまっています」。豪快なシュートもぶち込むなど、切り札の発射準備はOKだ。“お笑い担当”がW杯準々決勝ドイツ戦決勝ゴールで見せた笑顔の再現を狙う。ドリブル突破も止まらない。