【イエーテボリ(スウェーデン)19日=鎌田直秀】なでしこジャパンFW大滝麻未(22=リヨン)が最初で最後のチャンスに、ロンドン五輪18人枠入りをかける。今日20日、FIFAランク3位の日本は、同4位のスウェーデンと対戦。今遠征で初招集の大滝は先発出場の可能性が高い。スウェーデン代表でリヨンの同僚FWロッタ・シェリンとしのぎを削ってきた得点力が最大の武器。佐々木則夫監督(54)にアピールするのはゴールのみだ。

 大滝は得点のイメージをしっかりと描いていた。「一番分かりやすいアピールはゴール。そこにこだわりたい。抜けきる前に打ったり、相手の意表をつくプレーをする」。この日、前日練習での紅白戦では先発組でFW丸山と2トップ。右足で強烈なボレーシュートを放つなど、スウェーデン戦での爆発を予感させた。

 16日のスウェーデン-米国戦観戦でも得点意欲をかき立てられた。目の前でスウェーデン代表エースFWシェリンの華麗なゴール。リヨンでのチームメートは、ライバルであり手本でもある。「私も負けられない」。代表初選出が決まった今月5日には「ロッタ(シェリン)みたいに苦しい時に点がとれる選手が理想。なでしこでもそこを生きる道にしたい」と切り札に名乗りをあげていた。

 2月の和歌山キャンプではMF宮間主将からトラップの重要性をアドバイスされた。「トラップは個の技術の部分。ポストプレーも反転して裏に抜け出すのも、まずはそこから始まることを気付かせてもらった」と成長の糧とした。

 今年2月にフランスに渡った。3月21日の欧州CLブロンビー戦でデビュー。5月13日の欧州CL決勝フランクフルト戦でも途中出場して優勝のピッチに立った。「誰もが立てる舞台ではないし、自信になった」。佐々木監督の評価も「フランスで急成長した。日本人にないリーチも魅力だし馬力もある」と急上昇だ。

 7月2日に五輪代表18人が発表される。スウェーデン戦は最後の選考試合。大滝は負傷中の岩渕(日テレ)、丸山とFW最後の1枠を争うとみられている。18日の米国戦は右足首捻挫の影響で出場を断念したが回復。スウェーデン戦での代表初出場初ゴールが、長身ストライカーのロンドン行きを大きく引き寄せる。

 ◆大滝麻未(おおたき・あみ)1989年(平元)7月28日、神奈川県平塚市生まれ。湊FC-横須賀シーガルズ-早大から、1月にフランスリーグのリヨンとプロ契約。昨年ユニバーシアード中国大会では8得点で得点王。U-19、U-20など年代別代表にも選出。趣味はギター、ピアノ。好きな食べ物は納豆。家族は両親と兄。172センチ、59キロ。