アジアサッカー連盟(AFC)が17年からアジアチャンピオンズリーグ(ACL)でのスタジアム観客席の規定を厳格化することが23日、分かった。17年から、背もたれ付きの個席以外は観客席として認められない流れになるという。現在、年間勝ち点1位の川崎FはACL出場の場合、本拠地・等々力陸上競技場(2万6232人収容)のサイド、バックスタンドの1階席を空席で戦わざる得ない可能性が出てきた。

 AFCのスタジアム規則では、観客席は「個席で30センチ以上の背もたれがあるもの」とされ、ACL出場には5000席以上、AFC杯は3000席以上が定められている。16年までは「個席を完備したスタジアムの使用を強く勧告」とし、猶予期間になっていた。だが「17年以降は規定は厳密に適用される」と、Jリーグを通じて各クラブに通達があった。規定内の席が5000席あれば開催は可能だが、規定外の席は観客席として認められない可能性が一気に高まった。

 現在、年間勝ち点1位の川崎Fの等々力がピンチだ。ゴール裏は立ち見席で、1階のバックスタンド約3700席は背もたれがない。ACLに出場した場合、1万6000席が規定に当てはまるため開催は可能だが、サポーターが最も盛り上がる1階の約1万席が空席状態となる。特に1階バックスタンドは、得点した選手が真っ先に駆け寄って喜びを分かち合う場所。終盤の逆転劇を支える「等々力劇場」のムードを損なうことになりかねない。

 そこでクラブはスタジアムを所有する川崎市に席の改築を要望した。サポーターも、市長への要望書や署名活動などで「バックスタンド席だけでも背もたれを」と訴えていくという。川崎市側は「検討中」としているが、予算面などクリアすべき課題は多い。

 Jリーグの調査で、川崎Fは10年から6年連続で「地域貢献度1位」の評価を得るなど市民とクラブの一体感が特長だ。サポーター団体「川崎華族」の山崎真さん(36)は「動員が平均2万人を超え、多くの市民が応援している。サッカーだけでなく川崎市内で地域貢献活動なども積極的に行っているクラブへの後押しのためにも、ぜひ背もたれをつけてほしい。サポーターの声も川崎市に伝えられるよう署名を集めることも検討したい」と話している。

 ◆日本のACL出場枠 最新の国際サッカー連盟(FIFA)ランキング、過去4年間の所属クラブのACLと、AFC杯の成績をポイント化したもので決まる。今年はJ1優勝の広島、天皇杯優勝でリーグ2位のG大阪、同3位の浦和が出場権を獲得し、同4位の東京がプレーオフを経て出場した。来年の枠は11月にならないと正式決定しないが、リーグ優勝と天皇杯優勝チームは出場権を獲得し、リーグ2、3位のチームはプレーオフを経て決まる可能性が高い。

 ◆他クラブの状況 年間勝ち点2位の浦和、同3位の鹿島、今季ACL出場の東京は全席で規定をクリアする。同6位の柏は規定の個席が3500席で、クラブは「今後の対応は未定」。