北海道コンサドーレ札幌はアビスパ福岡を3-2で下し、ルヴァン杯初戦を白星発進した。

18歳の高卒ルーキー中島大嘉(国見高)がプロ初出場。2-1の前半41分にデビュー戦ゴールを決めた。リーグ戦とカップ戦の開幕ダブル勝利はクラブ史上初。5-1大勝の2月27日横浜FC戦から先発総入れ替えで臨んだカップ戦で、層の厚さを証明した。

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丸刈り頭を何度もはたかれた。国見高から今季加入した中島は顔を紅潮させて喜んだ。プロ初出場で初得点。「デビュー戦でゴールを取れたのは良かった。泥くさかったけど、ゴールにつなげられて良かった」。18歳らしい初々しい言葉で喜びを語った。

2-1の前半41分。ペナルティーエリアでFWドウグラスからパスを受けると、相手DF2人のプレスを受けながらも冷静に右足で蹴り込んだ。「ゴール前の良い場所にいたらボールは転がってくれると常に意識していた」。前半14分の先制点につながるPKも、MF小野からのクロスに188センチの長身で競り合い、相手のハンドを誘発したものだった。

昨年8月の入団発表時には「最終目標はバロンドールをとることです」と宣言した。だが特別指定選手として登録された昨季は公式戦未出場。「さすがに難しいなって。自分は調子乗ってでっかい夢を語ったりするけど、実際現実を見ているつもり」。今季チームに復帰した23歳上のMF小野にすぐさま弟子入り。ボールを蹴る、止める。元日本代表が見せる基本技術の1つ1つが教材で「少しでも近づけたら。自分の身体能力にそれがついたら最強」と、成長を誓っていた。

2月27日のリーグ開幕戦から先発メンバーを全員入れ替えて臨んだペトロビッチ監督は、DF岡村、柳と並べて高卒ルーキーの名前を挙げた。「合格点をあげても良い」。そのうえで「自信をつけた部分と課題で取り組まないといけない部分が見えたと思う」と注文もつけたのは、素質を高く評価している裏返しでもある。

クラブとしては史上初めて、リーグ戦、カップ戦ともに開幕戦で勝利を挙げた。中島は「継続して良いプレーができたわけではなく悔しいデビューだった。継続してゴールを重ねればもっと大きくなれる。トレーニングを積んで毎試合ゴールを決めたい」。収穫と課題を得た60分の初舞台。チームの快進撃とともに、中島の存在感も増していく。【浅水友輝】

○…デビュー戦初得点の中島は自己採点で「15点、20点」と厳しい数字を挙げた。キャンプから目標に掲げていたリーグ開幕戦出場ではなく、カップ戦でのデビューだったのに加え、「(最近)4点決める夢を見ていた。1点決めたけど…。2本のヘディングも外してしまったので」と満足はしていなかった。

◆札幌の公式戦年少得点記録 リーグ戦ではJFL時代の96年4月21日に、FW吉原が福島とのデビュー戦(開幕戦)で2得点。18歳2カ月19日でのゴールが最年少記録。J1では02年のFW新居が、デビュー戦となる鹿島戦で18歳3カ月29日で初得点を挙げた。カップ戦ではMF檀崎が19年にルヴァン杯湘南戦で18歳10カ月10日でプロ1号を記録。中島は18歳8カ月23日での公式戦初得点となった。