相馬直樹新監督(49)の初陣となった鹿島アントラーズは、徳島ヴォルティスに1―0で競り勝った。

強いアントラーズを取り戻す-。14日に就任したばかりの相馬新監督の強い決意が、選手にも乗り移っていた。伝統の速いプレスと激しい球際の攻防でボールを奪い、相手にボールが渡っても、ドンと構えて堅いブロックで応戦。前節まで8試合12失点と不安定だった守備が安定。アウェーで前半31分のDF町田のセットプレーからの1点を守りきり、今季初の無失点勝利で、リスタートを切った。

コーチから昇格した相馬監督は「今日、勝つことが非常に重要だった」と安堵(あんど)の表情。「最初から最後まで集中力を含め、素晴らしい戦いをしてくれた」と選手に感謝した。成績不振でザーゴ監督が解任され、新監督が指導した練習はわずか3日。クラブOBは、伝統の「ジーコスピリット(誠実、尊重、献身)」など、鹿島イズムを意識付けした。効果はてきめん。許したシュートはわずか2本だった。

16日に25歳になったばかりのMF三竿主将も、迷いから解き放たれたようにのびのびとプレーした。「自分の武器を出さなければ意味がない。まずは得意の守備で試合に入ることを意識した」と、持ち味のボール奪取などが光った。勝負強さが伝統の鹿島らしいウノ・ゼロ(1-0)での勝利だった。順位は15位から上げたが、まだ12位。順位に常勝軍団らしさはない。

ただ、切り札ともいえる来日済みの強力新外国人、カイキ、ピトゥカという両MFが加われば、チームの層は間違いなく厚くなる。指揮官は、首位川崎Fとの勝ち点差20は計算していないというが「今日も含めて(まだ)30試合、90ポイントある。何かを起こせないわけではない」。強い鹿島の復活を掲げ“振り向けば鹿島”となるまで、新体制で勝ち点3を積み上げる覚悟だ。【岩田千代巳】