セレッソ大阪小菊昭雄監督(46)が、試合前にある選手にかけた暗示が勝利へと結びついた。

「私のサッカーを理解しようと、本当に勤勉な選手。今までも多くのチャンスをつくり、アシストもあった。もう1歩でゴールという場面もあった。今日は試合前、2人で誓った中で、決めてくれたゴールなんです」

試合後の会見で指揮官が明かしたのは、日本代表MF守田も在籍のサンタクララ(ポルトガル1部)から新加入した、ブラジル人FWジェアン・パトリッキ(25)に対しての会話の内容だった。

コメント通り、パトリッキは俊足やドリブルを生かして、ゴール前への進入で数多く得点機を演出してきたが、J1ではここまで12試合無得点だった。

それがこの日、2-1の1点リードで迎えた後半5分に、FWブルーノ・メンデスのアシストから、右足で来日公式戦初ゴールを記録した。この後、J2ベガルタ仙台に1点差に迫られており、このゴールの持つ重要性が高かったのは間違いない。先発で結果を出したパトリッキも、心から喜んでいた。

「監督から『今日はゴールできるね』と言ってもらい、僕も自信を持ってプレーできた。監督の信頼に応えることができて、うれしい」

C大阪は18日のJ1リーグでサンフレッチェ広島に逆転負けを喫し、公式戦の連勝が6で止まったばかり。今回は中3日の公式戦で、昨季までJ1で実績のある仙台と敵地での対戦。

しかもMF原川や、故障から復帰したばかりのDF西尾を遠征から外し、GKキム・ジンヒョンやDF松田もベンチに温存。難しいマネジメントが求められた中、小菊監督は決して簡単ではない決断をし、試合に臨んでいた。

「公式戦6連勝の後の敗戦を受けて、今日は絶対に勝ちたい試合だった。攻守に規律を守り、乱れることなくプレーし続けたことで、逆転勝利につながった。選手たちの頑張りに感謝しています」

開幕前の下馬評が低かったC大阪だが、就任2年目の小菊監督に導かれ、天皇杯は4回戦、ルヴァン杯はベスト8へ進出。J1でも現在6位で悲願の初優勝を狙える位置にいる。元日本代表MF乾の途中退団で注目されたチームが、ピッチ内の結果だけで存在感を示している。