テゲバジャーロ宮崎が、いわきFCに1-0で競り勝ち、試合終了時点でのいわきFCのJ2昇格と優勝を阻止した。

21日に宮崎FW工藤壮人さんが32歳で死去。22日の藤枝MYFC戦、27日の愛媛戦はドローで白星が届けられていなかった。今節、ホームに迎えたのは首位でJ2昇格がかかった5連勝中のいわき。前半16分、ロングボールからカウンターに転じ、宮崎FW橋本啓吾(24)が相手DFとの競り合いを制しシュートまで持ち込み先制。以降、いわきの厚い攻めを受けるも、5バックにして守り抜き、天国の工藤さんへ白星を届けた。

試合後、高崎康嗣監督(52)は「1チャンスをものにして、いわきさんの攻撃をしのぐ展開だった。最後の最後まで粘り強く戦えた。連戦の3試合目ですけど走ったし体をはった。1週間前にいなくなった工藤壮人に、届けられたかなと思いますし。残されたご家族にもちょっとした元気を与えられたかなと思います」と振り返った。

シュート数は宮崎の2本に対し、いわきは12本。GK石井健太(34)の神セーブも光った。最後まで耐え続けて手にした勝ち点3。高崎監督は「ちょっとした運があったと思っている。壮人、ご家族、見に来てくれる方々に勝利を、元気を届けようという思いだった。その思いが実を結んだ。戦うって何か、身に付けられるチャンスだった」。

身近なチームメートの悲報でチームに動揺がないと言えばうそになる。高崎監督も「傷は残っている」と率直な思いを口にする。それでも「壮人とは、何て言うだろう…、ということだけだった。前向きに行こうよ、もっとやれよ、前向きな言葉しか言わないと思う。どんなに苦しくても前を向いて走り続けたのは壮人の思いを組んでいるということ。前を向いてより走ろう、より戦おう…。前回のドローを含め良くしようという結果が今日だった」としみじみと語った。