アルビレックス新潟はアウェーでFC東京に1-2で惜敗。2連敗を喫した。

先制を許した直後の前半12分。MF伊藤涼太郎(25)が自ら得たFKを蹴り込み、試合を振り出しに戻す。同34分に勝ち越されると、終盤は最前線に高さのあるFWネスカウ(23)を投入して同点を狙ったがゴールが遠かった。20年から2年にわたり新潟にパスサッカーを浸透させたアルベル監督(55)との初対戦。進化した攻撃スタイルは示したが、白星を挙げることはできなかった。

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新潟は1点を追う最終盤、後半途中出場のネスカウを目がけたロングボールを軸に敵陣に押し込むが及ばず、東京に屈した。伊藤は「前節と同様、技術うんぬん、殴り合いで負けた」と2連敗後の思いを口にした。

先制された直後の前半12分。伊藤の右足が8000人の新潟サポーターを沸かせた。自ら倒されて得た直接FK。ゴールまでは約26メートル。壁は6枚。事前のスカウティングで相手GKがキックの瞬間にファーサイドから壁側に動くクセがあると知らされていた。軽い助走からグラウンダーのシュートをゴール右隅に決める。「スピードはなかったけどボールを見せないように蹴った」。狙い通りの今季6点目をマークも勝ち越しを目指していただけに派手なガッツポーズのない、控えめな喜び方だった。

伊藤の同点ゴールで勢いづき、その後は次々とパスをつなぎ、東京ゴールに迫った。だが、いい流れの中で追加点を奪えずにいると、同34分にDF陣が相手のシュートコースに寄せきれず、勝ち越しを許した。新潟はここ3試合、前半だけでの複数失点が続く。GK阿部航斗(25)は試合序盤の先制点献上に「警戒していた中、相手の良さを出させてしまった」と話し、松橋力蔵監督(54)は「ボールの奪われ方が悪い」と少ない言葉で振り返った。

ボール支配率は57%に達した。ただ、シュートの数は90分間で6本(前半4本、後半2本)に抑えられた。後半は1対1の球際、最終局面の場面で劣勢に回った。「うちは気持ちより技術で打開するチーム。ただ、ワンプレーに懸ける思い、技術で相手と差が出た」と伊藤。「まだまだ練習量が足りない。自信がつくまで、もっともっと練習しないといけない」と続けた。

開幕10試合を終えて3勝3分け4敗。「積み上げてきたスタイルは崩さない。自分たちを信じて戦っていく」。この悔しさは次節5月3日、横浜FC戦にぶつける。【小林忠】

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○…20年から就任2年間で新潟にポゼッションサッカーを植え付けたアルベル監督に、攻撃サッカーは見せつけた。DF堀米悠斗主将(28)は「試合後、『このサッカーを続けろ』と言われた。次、ホームで戦うまでにさらに成長させたい」と話した。

○…阿部は前半に2失点したが、後半、PKを阻止した。「相手キッカーの過去の映像を見て臨んだ。先に動かずに我慢できた。(キックが)枠内に飛んで来ていても止められたと思う」。試合後にはアルベル監督と抱擁。健闘をたたえられた。「新潟の良さを消しに来ている印象があった。チームの課題を修正し、次のホーム戦では成長を示す」。