川崎フロンターレがMF橘田健人主将(25)の劇的決勝弾で蔚山を下した。
鬼木達監督が今季、主将に指名した橘田が後半44分に強烈なミドルシュートをゴールにたたき込んだ。
今季はメンバー外になるなど苦しんだ橘田を、監督は常に気にかけていた。守備の新たな形に挑戦していた9月上旬には、全体練習後に1時間以上橘田とグランドで話し合い、守備の部分や、攻撃で求めるイメージなどを伝えた。
そんな悩める主将が試合を決めた。得点後はチームメートにもみくしゃにされだ。「もう一皮むけてほしい」と言っていた鬼木監督は「健人は、今シーズン苦しんでいるところありましたけど、本当にここ最近、殻を破り始めている」と目を細めた。
さらに「彼の今日も守備で広範囲に渡る彼の良さというか、やはり局面ではなく徐々に全体像を把握しながらプレーできるようになってきた。それが、彼が一番成長しなければいけない部分もある。それがよくなってきたのと、最後アンカーであってもゴールに絡む仕事。何回かニアゾーンに走りに行きましたけど、そういうところも非常によくなっている」と攻守の活躍を絶賛した。
試合後、ミックスゾーンに現れた橘田の声は明らかに普段より大きかった。人垣ができると、橘田の声は聞き取れないことも多々あるが、この日は3列目でも聞き取れた。
中4日で天皇杯の準決勝、アビスパ福岡戦を迎える。タイトルまであと2つ。表情も明るくなった主将を中心に、「勝負の1週間」を駆け抜ける。【佐藤成】