【グアム5日=永野高輔】今季はショートカウンターが武器になる。コンサドーレ札幌が、グアムキャンプ最後の練習試合で今季からJ1に昇格した柏に2-2で引き分け、善戦した。1-1の後半37分にはショートカウンターから得点。本格的な攻撃練習前だったが、素早い攻守の切り替えからチャンスをつくる石崎イズムが発揮された。

 鮮やかな攻撃で昨季J2王者柏の守備陣をほんろうした。1-1の後半37分、MF河合が中盤でボールを奪うと、FW横野から右サイドの上原に展開。上原の鋭い右クロスに、最後はMF高木純が走り込んでゴールが生まれた。パス3本でシュートまで運ぶスピーディーな展開。石崎監督も「シンプルにボールを動かしていたし、いい形。うまくできていた」と評価した。

 守備の意識統一に時間をかけてきたこのキャンプ。攻撃に関しては、ほぼ手つかずの状態で臨んでいた。指揮官も「攻撃は個人の能力がどれだけのものか確認できればいい」としていただけに、思わぬ収穫となった。しかも起点となったのは今季新加入の河合。キャンプを通して、石崎監督が求めるサッカーが自然と浸透していたことになる。

 得点した高木純は「球離れが早く、あのようにつないでいけば敵もついてこれない。勝負どころで決め切れたのは良かった」と振り返った。昨季はつないで崩す意識ばかりが先行して、本来指揮官が推し進めようとしていた高い位置からのショートカウンターの得点はほとんど見られなかった。だが守備を固めてくるJ2クラブ相手の戦いでは、まずは速攻。河合も「守ってくる相手には、今回みたいに早い展開は理想的」と手応えを口にした。

 負傷者続出で主力が離脱するスクランブル状態ながら急きょ代わったメンバーで戦い抜いたことも意味がある。FW内村が腰痛、MF芳賀は左足底筋膜炎で欠場した。前半試合途中でMFブルーノ、後半にDF日高、MFアンドレジーニョが負傷交代。それでもJ1に昇格した柏相手と、ほぼ互角に渡り合った。

 DF山下は「こういう状況をみんなでカバーしあえたのも収穫」と言った。得点シーンは、いずれも日本人選手の連係で挙げたもの。チーム全員でボールを奪い、スピーディーにゴールに結びつける石崎流が、新チームにも順調に根付き始めている。