かつて中田英寿、西沢明訓、宮市亮が所属し、日本にもなじみのあるイングランド2部ボルトンが破産のピンチだ。

 リーグ最下位に低迷するボルトンは10日、声明を発表。HMRC(英国の歳入税関庁)からクラブの財務を清算し、破産宣告するよう求められていると明かした。

 ボルトンは60万ポンド(約1億1300万円)の税金が未払いとなっており、1億7300万ポンド(約326億円)の負債を抱えている。

 ボルトン側はHMRCに対し、クラブ売却もしくは新たな運営資金獲得のための猶予を与えてもらえるように申し出ている。だがHMRC側はクラブの財務面に改善の見込みがないと判断したもようだ。

 財政の悪化で満足な補強もできず、ボルトンは現在19試合を終了し、1勝9分け9敗の勝ち点12で最下位。ここ13試合、勝ち星から見放されている。

 クラブが破産し、管財人の管理下に置かれれば、自動的に勝ち点12が没収となる。

 かつてスコットランド1部セルティックで中村俊輔(横浜)のチームメートだったニール・レノン監督(44)は英BBCの取材に「トレバー(ボルトンの財政アドバイザーのバーチ氏)は破産を避けるプランはあるようだ。もしそうなったら、我々は3部クラブになったも同然。シーズン残り試合も意味のないものになってしまうから。1月の移籍期間にも選手を売ることになるだろう。クラブの未来の方が大事だから」と話している。

 ボルトンは日本にもなじみがあるというだけでなく、世界最古のサッカーリーグ「フットボールリーグ」(1888年創設)に参加した12クラブのうちの1つ。つい4シーズン前まではプレミアリーグで戦っていた。

 そんな名門の落とし穴は2部落ちを想定していなかったことだった。英ガーディアン紙(電子版)によると、降格時に年俸を削減するというような条項を契約に盛り込んでいる選手はわずか数人。そのため2部落ちした初年度の12-13年シーズンには一気に2200万ポンド(約41億5000万円)もの赤字を計上した。

 現在も1カ月に100万ポンド(約1億8900万円)ずつ負債が増えているという。もはや破産は避けられないようにみえるが、今後の成り行きに注目したい。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)