3月30日に欧州女子サッカー界で驚くべきことが起きた。

女子欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のバルセロナ-レアル・マドリード第2戦で、バルサの本拠地カンプノウがソールドアウト(チケット売り切れ)となったのだ。

売り切れといっても、そんじょそこらのスタジアムではない。巨大なカンプノウだ。英ガーディアン紙電子版によると、5-2でバルサが勝利したこの試合を観戦したファンの数は、なんと9万1553人にものぼったという。

バルセロナの本拠地カンプノウ(2015年3月撮影)
バルセロナの本拠地カンプノウ(2015年3月撮影)

それだけではない。同日行われた女子欧州CL準々決勝パリ・サンジェルマン-バイエルン・ミュンヘン第2戦では、パリSGのホーム、パルク・デ・プランスに2万7000人を超えるファンが詰めかけた。パリSG女子チームは最多入場者記録を更新した。

試合自体も白熱した展開でファンを満足させた。日本代表DF熊谷紗希のゴールなどで、90分間ではBミュンヘンが2-1と勝利。2戦合計3-3となって延長戦に突入し、パリSGが1点を奪って4強進出を決めた。

女子欧州CLを放送しているDAZNによると、前述したバルサ-レアルの「クラシコ」だけで、260万人が試合を視聴。クラシコの第1戦も130万人の視聴者を集めたという。

日本では今季から女子のプロリーグ「WEリーグ」が開幕。各チームとも集客にはなかなか苦戦していると聞く。一方、なぜ欧州や米国ではそれほどまでに女子サッカーの人気が高いのか。ジュリア・ベラス・トリンダーデ記者はガーディアン紙に寄稿した記事で今回の「女子クラシコ」に9万人を超えるファンが集まった理由について、特にバルセロナにおける状況をふまえながら推察。以下の理由を挙げている。

1、バルサファンとバルセロナ市民は女子チームに信じられないほどの誇りを持っている。プレースタイルとともに、女子選手たちの地に足の着いた人間性についても好ましく思っている。

2、試合の宣伝がいたるところで行われた。試合が行われることを知らないことの方が難しいくらいだった。

3、チケット価格が9~15ユーロ(約1170円~1950円)と安価だった。男子のクラシコでは一番安いチケットでもその10倍以上はするため「1度はカンプノウを訪れてみたい」と思っていたファンが気軽にチケットを購入できた。

4、サッカー界での男女平等の流れと、女子サッカーをサポートするバルセロナ市民の姿勢が絶妙にマッチした。

日本でもいきなりWEリーグの試合でスタジアムが満員になるのは難しいかもしれないが、1歩ずつ欧州での状況に近づいていくことを願っている。それにはまず社会的にもサッカー界的にも男女平等がより浸透していくことが大事になってくるだろう。

個人的にはすべてのJクラブは女子チームを持つべきだと思っているし、女子サッカーにもっとお金をかけて運営、宣伝等を行うべきだと思っている。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)