スペインリーグ冬の移籍市場が1月31日に閉鎖した。昨冬は新型コロナウイルスの影響が弱まったことで、補強総額が前年の4倍近い7575万ユーロ(約106億500万円)と大幅増加したのに対し、今冬は約半分の3768万ユーロ(52億7520万円)に減少した。

また、この金額はコロナ禍前の20年冬と比べ3分の1以下。そして今冬大盛況となったプレミアリーグの約21分の1と雲泥の差だった。

この1月に補強を全く実施しなかったのは、バルセロナ、レアル・マドリード、レアル・ソシエダード、ビリャレアル、オサスナ、ビルバオ、バレンシアの7クラブ。

スペインリーグ首位のバルセロナはさまざまな選手が候補に挙がるも1人も獲得せず、デパイとベジェリンを売却し、ガビをトップチームに登録するだけにとどまった。

2位のRマドリードはアンチェロッティ監督が“今いる選手たちに満足しており補強は不要”と繰り返し発言していた通り一切の動きを見せず、久保建英の所属する3位Rソシエダードは多数のけが人を抱えるも、カリカブルをレガネスに期限付き移籍させたのみとなった。

一方で13クラブが計40人を獲得し、その内訳は期限付き移籍23人、期限付き移籍からの復帰4人、フリートランスファー4人、完全移籍9人となっている。

補強組で最も派手な動きを見せたクラブは、リーグ開幕直後から降格圏内で苦しんでいるカディス。後半戦での巻き返しを図るべく最多の7人を獲得している。続いてバリャドリードとエスパニョールが各5人、マジョルカ、セビリア、エルチェが各4人、アトレチコ・マドリード、ベティス、アルメリア、ジローナが各2人、ラヨ・バリェカノ、セルタ、ヘタフェが各1人となっている。

この中で選手獲得に資金を投じたのは8クラブのみ。補強費トップは1100万ユーロ(約15億4000万円)のエスパニョール。2番目は800万ユーロ(約11億2000万円)のラヨ・バリェカノ、3番目は700万ユーロ(約9億8000万円)のベティスだった。

続いてジローナが500万ユーロ(約7億円)、Aマドリードが300万ユーロ(約4億2000万円)、カディスが210万ユーロ(約2億9400万円)、バリャドリードが50万ユーロ(約7000万円)、アルメリアが8万ユーロ(約1120万円)。

また、獲得に資金が投じられたのは10人のみ。トップは移籍金800万ユーロ(約11億2000万円)のスペイン代表FWウール・デ・トマス(ラヨ・バリェカノ)とメキシコ代表DFセサル・モンテス(エスパニョール)である。

一方でチームを離れた選手は計45人で、売却総額(※期限付き移籍の手数料含む)は昨冬の4倍近くの7840万ユーロ(約109億7600万円)にアップした。その大半を占めるのは、クーニャ(買い取り義務オプションの金額含む)、ジョアン・フェリックス、フェリペを期限付き移籍させ、計6000万ユーロ(約84億円)もの収入を得たAマドリード。

欧州5大リーグに目を向けると、補強総額1位は例年通りプレミアリーグ。その金額は前年の2倍以上の7億9381万ユーロ(約1111億3340万円)へと大幅アップし、2位以下を大きく引き離し、潤沢な資金があることを改めて証明した。

続いてフランスリーグが1億2720万ユーロ(約178億800万円)で2位、ブンデスリーガが6877万ユーロ(約96億2780万円)で3位、スペインリーグが3768万ユーロ(52億7520万円)で4位、セリエAが2842万ユーロ(約39億7880万円)で最下位だった。

一方、クラブトップは3億5800万ユーロ(約501億2000万円)もの大金を投じたチェルシー(イングランド)で、6030万(約84億4200万円)で2位のアーセナルに大差をつけている。

選手のトップは昨年のワールドカップ(W杯)で価値を高め、ベンフィカからチェルシーに移籍したアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデス。その移籍金は英国史上の最高額となる1億2100万ユーロ(約169億4000万円)であった。

売却総額ではフランスリーグが1億7410万ユーロ(約243億7400万円)で1位。

続いてプレミアリーグが1億46万ユーロ(約140億6440万円)で2位、スペインリーグが7840万ユーロ(約109億7600万円)で3位、ブンデスリーガが4905万ユーロ(約68億6700万円)で4位、セリエAが4840万ユーロ(約67億7600万円)で補強費同様に最下位。

そして最も売却額が多いクラブはAマドリードで6000万ユーロ(約84億円)だった。

今冬の移籍市場はプレミアリーグのようにシーズン半ばに開催されたW杯の影響を受け、活性化されたリーグがある中、スペインリーグでは上位クラブにほとんど変化はなく、巻き返しを図る中位以下のクラブに大きな動きが見られる結果となった。

シーズン終了までの残り4カ月、補強を実施したクラブがどのような変化を遂げていくかが注目となるだろう。

【高橋智行通信員】