スペイン代表が欧州選手権予選でスコットランドとノルウェーを撃破し、8大会連続、通算12回目の本戦出場を決定した。

■W杯1回戦敗退から再起

ワールドカップ(W杯)2大会続けて決勝トーナメント1回戦敗退という憂き目に遭ったスペインは汚名返上のため、東京オリンピック準優勝など年代別代表で十分な実績のあるルイス・デ・ラ・フエンテを新監督に迎え再起を図った。

昨年12月の就任会見時に得点力不足を打破し、攻撃的なサッカーを実践することを約束した指揮官は、まずW杯メンバーを半分以上入れ替え、1人しかいなかったセンターフォワードを複数招集した。システムは前任のルイス・エンリケと同じ4-3-3で、ポゼッションサッカーも変わらなかったが、よりサイドバックの攻撃参加を重視し、クロスボールを多用していった。これが功を奏し、初陣となった3月の欧州選手権予選初戦、エースのハーランドをけがで欠いたノルウェー相手にホームで3-0の圧勝を飾り、幸先の良いスタートを切った。

しかし続くアウェーのスコットランド戦、8人もの大幅なローテーションを行ったことが完全に裏目に出た。攻撃が全く機能せず、W杯時の”圧倒的にボールをキープするも得点を奪えない”という慢性的な問題をまたもや露呈し、0-2で完敗。A組首位の座を譲ることとなる。

■Rソシエダードから4人招集

デ・ラ・フエンテ監督はそれ以降、この試合を教訓に負傷者が出た時以外はベースとなる選手を変えずにスタメンを固定し、結果を出していった。6月の欧州ネーションズリーグ・ファイナルフォーでは、イタリア(2-1)とクロアチア(0-0、PK戦5-4)を撃破して初優勝を達成。さらに先月の欧州選手権予選でジョージア(7-1)、キプロス(6-0)に順調に勝利した。

そして今月、欧州選手権出場に向けて重要となる、A組首位スコットランド、3位ノルウェーとの対戦を迎えた。W杯の招集メンバー26人(※負傷者による変更前)のうち、この2試合に向けて選ばれたのは11人のみ。その中で特に際立つのは、ブスケツやジョルディ・アルバなどが代表引退をしたことでバルセロナの選手が7人から4人に減り、一人も入っていなかったレアル・ソシエダードから最多タイとなる4人が呼ばれたことだ。

新監督によって大きな変貌を遂げたチームは、スコットランドに徹底的に守備を固められたことで苦しむも、7カ月前と同じ轍は踏まなかった。ボールを7割キープして、相手の枠内シュートを1本に抑え、タイミングの良い選手交代でチームを活性化した。そしてモラタが待望の先制点を記録し、今季クラブと代表で戦った12試合で11ゴールを記録する好調ぶりを見せ、この日代表デビューのサンセットが追加点を奪った。ホームで2-0の勝利を挙げて見事7カ月前のリベンジを達成し、W杯&欧州選手権の予選におけるホームゲームの連続無敗数を49に伸ばしている。

続くノルウェーとのアウェーゲーム、デ・ラ・フエンテ監督は中2日という過密日程にもかかわらず、スタメンを3人しか変更しなかった。後ろに引いてカウンターを狙う相手に対して我慢強くボールを持ち続けてゲームをコントロールし、ハーランドを抑え込み、ガビの決勝点により1-0で勝利した。

これによりスペインは6試合5勝1敗とし、スコットランドと勝ち点15で並ぶも得失点差でA組首位の座を奪還。2試合残して2位以内を確定させ、本戦出場を決定した。

■37歳ヘスス・ナバス復帰

今のチームが結果を出せているのは、選手個々のパフォーマンスの良さはもちろんだが、デ・ラ・フエンテ監督が年齢に関係なくクラブチームで旬の選手を次々と招集し、古参の選手たちとうまく融合させたことも大きいだろう。

目立つ動きでは、二重国籍を取得したばかりのフランス人のル・ノルマンを即座に呼び寄せてレギュラーに据え、ラポルテとセンターバックで組ませたことでチームは堅固な守備を手に入れている。さらに37歳のヘスス・ナバスを代表復帰させ、昨季のスペイン人得点王である33歳のホセル、先月16歳57日で代表の最年少デビュー&得点記録を塗り替えたヤマル、グラナダで今季大ブレイクのブライアン・サラゴサなどをデビューさせてきた。

■主軸はモラタらW杯主力組

3月の新チーム発足後、スペインはこれまでに8試合を戦い6勝1分け1敗(※クロアチア戦は引き分けにカウント)という好成績を残している。その中でデ・ラ・フエンテ監督にとっての現時点での主軸は、GK=ウナイ・シモン、DF=カルバハル、ル・ノルマン、ラポルテ、バルデ、MF=ガビ、ロドリゴ、FW=モラタという、大半がW杯でも主力だった選手たちだ。本戦まで8カ月あるが、テストマッチがそれほど多くはないため、この状況が大きく変わることはないだろう。

インサイドハーフの残り1枠について、現時点ではミケル・メリーノ、ファビアン・ルイス、負傷中のペドリが争う可能性が高くなっている。一方、両ウイングのレギュラー争いは熾烈を極める。これまでアセンシオ、フェラン・トーレス、ニコ・ウィリアムズ、ダニ・オルモ、ジェレミ・ピノ、オヤルサバル、アンス・ファティ、ブライアン・サラゴサなどが起用されてきたが、デ・ラ・フエンテ監督が最も頭を悩ませるポジションになりそうだ。

就任後まだ1年が経過していない新監督のもと、手応えを掴んだスペインは来夏チーム一丸となって、2012年以来3大会ぶり、史上最多4回目の優勝目指して戦うことになる。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)

ユーロ2024予選グループA、ノルウェー対スペイン 先制ゴールを決め、喜ぶスペインのガビ(ロイター)
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