<コンフェデレーションズ杯:ブラジル3-0スペイン>◇決勝◇6月30日(日本時間7月1日)◇リオデジャネイロ

 ネイマールが母国に栄冠をもたらした。ブラジルがコンフェデレーションズ杯決勝でスペインを下し、05、09年大会に続く3連覇を成し遂げ、通算4度目の優勝を果たした。エースFWネイマール(21=サントス)が左足の豪快なシュートでダメ押し点を奪取。母国開催の大会で世界王者を沈め、チームを優勝に導くと同時に、大会最優秀選手賞(MVP)にも輝いた。バルセロナに移籍が決まっている天才が、来年にブラジルで開催されるW杯で6度目の優勝へ向けて大きな1歩を踏み出した。

 マラカナンが揺れた。魂を震わす大歓声の真ん中に、21歳の天才がいた。「おれたちは王者に戻った!」。ピッチ上で歌い続けるイレブン。ネイマールは叫んだ。「(スペイン撃破は)多くの人にとって不可能なことだったけど、不可能なことなんてないんだ。我々が敬意を表されるべきチームであることを世界中に示すことができた」。

 1点リードの前半44分。敵陣左サイドでパスを受けると、MFオスカルに1度ボールを預ける。次の瞬間、オフサイドにかからないように3ステップ後方に下がり、オスカルからのリターンを引き出す。左足で名手GKカシリャスに触れさせない、豪快なシュートをゴール左上に蹴り込んだ。

 利き足は右。この目の覚めるような一撃は左足だった。そこに元プロ選手、父の教えがあった。「父からはいつも『シュートを打つ足を選ぶな。ボールが右にあれば右足、左にあれば左足で打てるようになれ』と言われていた」。この日のゴールは迷わず左足を振り、ニアサイドを打ち抜いた。ゴールネットが揺れると、観客席の家族が座るゾーンへ駆け寄った。

 ペレも認めるスター。そしてスコラリ監督は「チームプレーができる」と評する。でも以前は違った。10年、サントスでPKのキッカーを巡る小競り合いを起こし、監督や主将と衝突。ペレからも批判されて、はじめて気付いた。「みんなや家族が悲しんでいた。このようなことは2度と起こらないようにしないと」。教訓から学んだネイマールに、今はボールが集まる。

 今大会4得点でMVPに輝いた。「この優勝は重要なものだ。自分を、チームを、強く前へ進めるものだ。ただ、冷静にならなければならない。僕らは正しい道にいて、良いスタートを切れたんだから」。セレソンにとっての正しい道、そのゴールはW杯優勝にほかならない。【菅家大輔】