日本代表(FIFAランキング18位)がチュニジア(同45位)に臨み、W杯8大会目にして1試合最多の4得点で快勝した。4-0で完封勝利で決勝トーナメント進出へ大きく前進した。
MF鎌田大地(29=クリスタルパレス)は前半4分に先制点。ゴール前で左足のバックヒールで合わせた。W杯での2戦連発は、02年日韓大会のMF稲本潤一以来、24年ぶり日本人2人目。さらに前半4分での得点は、18年ロシア大会1次リーグ第1戦コロンビア戦でMF香川真司が記録した前半6分を塗り替え、W杯での日本史上最速ゴールとなった。
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鎌田は物おじしない。だから天井もない。プロ1年目、鳥栖に入団した時の監督だった森下仁志氏(現東京Vヘッドコーチ)には忘れられない記憶がある。
シーズンを前にした沖縄キャンプに行く直前、突然こんなことを言われた。「仁志さん、俺ナイキ履きたいんですけど」。森下監督がナイキと契約していることを知っての発言だった。
「まったく試合にも出ていない新人で、これはなかなかのものだと思った。そこでキャンプ地でナイキの担当者に大地を推薦しました。絶対にコイツは(トッププロに)来るからナイキを履かせてやってくれって」。今でも当時の担当者と顔を合わせると「いずれ出てくるとは思ったけど、あそこまで行くとは」と苦笑する。
サッカーでねじ伏せてやる-。開幕から11試合目で後半途中から起用されると、そのデビュー戦でいきないゴールを挙げた。「やっと使ってくれたのかって感じだった。本当に彼がすごいのは、サッカーでねじ伏せるというか、自分の力をプレーで証明する」。それは欧州へ渡っても変わらない。
鳥栖からアイントラハト・フランクフルトへ。愛弟子に会いにドイツへ行った時にこう言われた。「言葉とかしゃべれなくても、サッカーでねじ伏せますから」。ドイツでは当初、苦労した。レンタルでベルギー1部シントトロイデンへ出されたが、そこでシーズン15得点を挙げた。再びEフランクフルトへ戻されると、行く前と同じスタッフたちが手のひら返しの対応だったという。「やっぱり結果がすべての世界。よく言葉がしゃべれないと欧州では成功できないって言うけど、そんなことはない」(森下氏)。それほど鎌田のプレーは雄弁だった。
森下氏が言う。「間違いなく根性がありますよ。根性とは字のごとく、根っこのところ、その根っこが座っている」。G大阪ジュニアユースからユースへ昇格できず、京都・東山高を選択。悔しさをバネにした。常に自分にベクトルを向け続け、地面に根を生やしていった。それは欧州へ渡ってからも同じだ。
鎌田が大事にするのは、ストリート的な感覚だという。東山高校時代、雨天で外練習ができない中、校内の廊下にコーンを立ててドリブルのドリル練習を繰り返していた。その鋭く正確なボールタッチも含め、世に出回っている映像は有名。どこかストリート感あふれるものだ。
森下氏は「メッシやヤマル、ペドリだってやっぱりストリートに近い感じでやっている。プロであってプロになっていないというか、少年の心を持ったような。みんなサッカーが超楽しいなって時はあったと思うんです。俺めちゃくちゃ無双してんな、って。プロになったらみんなそれを忘れていくんですけど、大地にはそれがある」。憧れの舞台に立ちながら、今も少年の心を持ってプレーしている。【佐藤隆志】


