<アジア大会:陸上>◇第13日◇1日◇韓国・仁川

 陸上の男子競歩50キロで谷井孝行(31=自衛隊)が、3時間40分19秒で金メダルを獲得した。今大会の日本陸上陣第1号の金メダルで、来年の北京世界選手権代表も内定。競歩界にとっても五輪、世界選手権など、主要国際大会初の金メダルとなった。

 日本競歩界にとって記念の日になった。日本記録に7秒及ばずも、自己ベストで谷井がフィニッシュ。今大会の日本陸上陣第1号の金メダルで、来年の北京世界選手権代表も内定。競歩界にとっても五輪、世界選手権など、主要国際大会初の金メダルとなった。「しっかり狙って取れた。金メダルの名誉はうれしい。ずっと誰かの陰に隠れて縁がなかったので」。勝利の味は格別だった。

 戦略の勝利だ。「自己ベストを出さないと勝てないと考えさせるペース」で中国の若手2人を序盤に、途中で付いてきた外国選手も「相手に負担をかけるためのリズム変化」でふるい落とす。36キロ過ぎには「落ちたペースを元に戻した」だけで山崎を置き去った。

 高校入学直後、右膝痛を発症。先輩の勧めで長距離から競歩に転向した。今年5月には「周りに強い選手がいる。自分にプレッシャーをかけたかった」と佐川急便から自衛隊体育学校に入校。2度の「転身」がこの日の金字塔を生んだ。自体校には歴代五輪メダリストのゆかりの品々が飾られる部屋がある。「あそこに自分のも入れられるように頑張ります」。2等空曹の背筋がピンと伸びた。【渡辺佳彦】

 ◆谷井孝行(たにい・たかゆき)1983年(昭58)2月14日、富山・滑川市生まれ。滑川中時代は野球部。高岡向陵高-日大をへて佐川急便。五輪は3大会連続出場中。今春、佐川急便から自衛隊体育学校へ。家族は夫人と4歳の長女。167センチ、57キロ。B型。