執念でアジアの頂点に立った。16年リオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(26=旭化成)が、世界選手権銅メダルの安昌林(韓国)に11分9秒の激闘の末、勝利した。

ゴールデンスコア方式の延長戦。大野は得意の内股で狙い続けた。10分50秒過ぎ、大外刈りで崩してから内股に入り、技ありを奪って勝負を決めた。「見応えのない試合だったかもしれないが、自分の新しい柔道スタイルを考えれば我慢強く、粘り強く戦えて、大きな収穫。稽古の質と量、根性は絶対に負けないと思っていたし、ここで引いたら五輪の道がなくなるという強い気持ち、心を持って臨んだ」。

リオ五輪後は天理大大学院の学業を優先。修士論文のテーマは「大外刈り」で今年2月に本格的に復帰した。「皆さんからしたら(五輪金メダリストが)アジア王者になって当たり前だと思う。ありがたいことに多くのプレッシャーをかけていただき、決勝で試合をものに出来た。気持ち、人間として習熟したかなと思う」。2日後には男女混合団体を控える。「代表の一員として仕事がまだあるので今日は今日」と、既に気持ちを切り替えていた。