ニューイヤー駅伝としておなじみの全日本実業団対抗駅伝は16年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。日清食品グループはエースの佐藤悠基(29)をはじめタレントぞろいのチームだ。今季は故障者も多いが、元日に向けて復調途上。戦力がそろえば十分位優勝の可能性はある。

 佐藤といえばトラックでは昨年まで日本本選手権1万メートル4連覇。国際大会代表入りも4年間続けた日本の第一人者だ。駅伝でも日清食品グループの勝敗は佐藤の走りに左右されてきた。12年には最長区間の4区(22キロ)を区間新で走り2度目の優勝に貢献した。しかし13年以降は6区10位、4区4位、3区4位と力を発揮できず、チームも優勝を逃し続けた。

 そんな佐藤は今季を駅伝への強い思いを抱いて迎えた。しかし9月のベルリンマラソンで負傷し、11月3日の東日本予選は欠場を余儀なくされた。その後、11月29日の甲佐10マイルで復帰したが順位は79位。「佐藤はニューイヤー駅伝に間に合わないのでは?」という声も聞かれたが、甲佐での走りはあくまで調整に徹したもので、駅伝を見据えていたところが佐藤らしいといえる。普段から佐藤はレベルの高い練習を続けており負荷は高いが、常に自分の体調と照らし合わせて、無理は絶対にしない。それが大きな故障を生むことなく、最小限の故障に止め、故障をしても早期に復帰できる理由だ。主将を務める佐藤は「今年は勝たないといけない年」と駅伝に集中している。

 森田修一ヘッドコーチは「走るべき人間がスタートラインに着かないことには勝負にならない」と話した。これは佐藤を筆頭に、故障で東日本予選に出られなかった小野裕幸(29)や高瀬無量(26)ら主力を指す。

 小野も高瀬も復調中ではあるが、明るい材料もある。前回欠場した矢野圭吾(24)がケガから完全復帰し、東日本予選4区で区間賞を獲得。単独走に強く、5区以降の後半区間で力を発揮できるタイプだ。前回4区で区間5位の村沢明伸(24)は、アキレス腱の不安がなく練習できているという。1区のスペシャリストである若松儀裕(29)も東日本予選1区で区間2位とほぼ復調した。

 選手個々の能力は、旭化成にも引けを取らない。「ヨソがどうこうより、ウチのチームが戦える布陣になれるよう、残り1カ月で調整していきます。そこが勝負だと思います」。森田ヘッドコーチは自信を漂わせた。