今年も、青学大は強かったね。個々には誤算もあったけれど、総合力で勝ちきった。復路勝負の布陣にもかかわらず、3区秋山の活躍で往路も優勝。不振が伝えられた選手が結果を出した。選手を信頼し、選手から信頼される原監督の選手起用が素晴らしかった。

 今年は山登りの5区が短縮され、その比重が軽くなった。06年に距離が延び、毎年のように「山の神」が現れ「山を制するものが大会を制す」ようになった。でも、それは本来の駅伝じゃない。今大会は「危うい駅伝」から「正しい駅伝」になった。昨年まで総合力はありながら「山に頼る」イメージが強かった青学大が、本当の王者になった。

 5区ではなく、2区が注目された。これが、うれしいね。立場が変わった(日本陸連長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)から、東京五輪代表候補に目がいく。MVPに挙げたい神奈川大の鈴木健は楽しみ。体を作れば、マラソンでも期待できる。もちろん、青学大の一色も。調子が上がらない中、あれだけ走れる安定感はさすが。さらに、青学大8区の下田もいい。箱根が世界につながることを再認識させてくれた今大会。東京五輪に向けて、いいスタートが切れたんじゃないかな。(84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪代表)