バトンを受けるのはサニブラウン。3走が決定的な桐生の「はい」の掛け声が響く。ただ、日本選手権2冠の男が動きだしたのは、予定していたマークから桐生が約2メートルも進んだ地点だった。右足を前にして構えているのに、なぜか右足から進もうとした。バトンが詰まってしまうどころか、そのまま桐生に追い抜かれてしまった。練習場は爆笑の渦に包まれた。「おせ~よ」と桐生。サニブラウンは頭の上で手を合わせ「ごめんなさい」ポーズ。練習場の中心で映像を確認すると、再び笑い声が起こった。

 前日30日は1走の練習に専念し、大きなミスはなかった。この日は意図せず大ウケを取った上、アンカー失格の烙印(らくいん)を押されてしまった18歳は「大失態を犯してしまった」と白い歯を見せてから「スタートの方が気楽ですね」と正直な心境を吐露した。

 これで400メートルリレーは、サニブラウン-飯塚-桐生-ケンブリッジの組み合わせが濃厚となった。サニブラウンはバトンは渡すだけの1走で、不安なく実力を発揮できる。2~4走は銀メダルを獲得したリオ五輪と同じで、バトンワークに不安材料はない。爆笑ミスで決まったオーダーで、五輪も含めて初となる金メダルを目指す。