多田修平(21=関学大)は初の世界選手権で力を出し切った。自己ベスト9秒台が5人いる準決勝3組で、10秒26の5着と健闘した。予選に続きボルトと同じ組で対戦した。「ボルト選手とスタートで差をつけられなかった。そこが僕の想定外。中盤でかわされた。力が足りないな」。表情からは充実感が漂った。

 どんな環境にも適応できる力を備える。7月の山梨県内でのバトン練習を行う男子短距離合宿。初めて日の丸を背負う新入りだったが、任天堂スイッチのマリオカートを持参。「暇つぶし」のつもりだったが、“小道具”でリレーメンバーとコミュニケーションを深めることに成功した。ずぶとい心でロンドンで普段通りの力を出した。

 大学1年で後十字靱帯(じんたい)を痛めてからは、けがに細心の注意を払っている。リュックに足腰の守護神として知られる京都・護王神社のお守りを付ける大学3年生は「東京五輪までに筋肉を増やして、世界と戦える力をつけたい」と笑顔で話した。

 次戦は大学世界一を決めるユニバーシアード(19日開幕、台湾)でメダルを狙う。