日本陸連の科学委員会は10日、男子100メートルで桐生祥秀(東洋大)が9秒98を出した9日のレースの最高速度は秒速11・67メートルだったなどとする分析データを公表した。

 向かい風0・3メートルで10秒04を出した今年の織田記念国際は11・42メートルだった。今回は10秒の壁を破るために必要とされる11・60メートルを上回った。

 過去のデータでは桐生は100メートルを48歩程度で走る。追い風1・8メートルの好条件に恵まれた今回は47・3歩だった。1秒で最大5歩に達する高速ピッチも維持した上で、ストライドがやや伸びたことも快挙につながった。

 桐生の場合、55メートル付近で出ることが多かった最高速度は、65メートル付近で記録した。土江寛裕コーチは「スタートをちょっと抑え気味に入ったので全体的に後ろにずれた可能性もある。スピードが高ければ、そこまで上げるための距離も必要になってくる」と指摘した。