東京国際大の30歳ルーキー渡辺和也(1年)は7区を走り、区間7位で箱根デビューを果たした。

 30歳のルーキー渡辺が初の箱根路を駆け抜けた。「すごく楽しかった」。任された7区は寒暖差の激しい21・3キロ。スタミナを案じ「力を抑えすぎた」と区間7位にとどまったことを反省、「来年以降は、区間賞を目指さないと」と自らを鼓舞した。

 日清食品グループの実業団選手だった昨春、自身の進退を悩んだ末、社会人入試で入学した。11年世界選手権5000メートルの実績から「ヤバイ人が入ってくる」とチームはざわついたが、渡辺はすぐなじんだ。寮では“後輩”として掃除をこなし、アルバイト禁止のため、奨学金と社会人時代の貯金を切り崩して生活費にあてる。3、4年生とは休日に飲みに行き、恋愛話に付き合う。「申し訳ないが、ワリカンです」。陸上は個人競技、という信念を持つ渡辺に「宝物」という年下の仲間が出来た。

 箱根の最年長記録は、39年に33歳131日で5区を走った中大の村社(むらこそ)講平とされる。渡辺が4年時に走れば、往路なら33歳179日、復路なら同180日で記録を塗り替える。「もちろん4年まで走るつもりです」。足の故障などで昨年はタイムが上がらず「半分の力も戻っていない」。まずは「全盛期のスピードを取り戻す」と目標を掲げた。【高場泉穂】

 ◆渡辺和也(わたなべ・かずや)1987年(昭62)7月7日、兵庫県西宮市生まれ。深津中で競技を始める。報徳学園高卒業後、山陽特殊製鋼、四国電力、日清食品グループに所属。11年の日本選手権5000メートルで優勝し、同年アジア選手権4位、同年世界選手権日本代表。今年4月に東京国際大人間社会学部人間スポーツ学科入学。自己ベストは5000メートル13分23秒15、1万メートル27分47秒79。趣味はゲーム。家族は両親と兄。172センチ、55キロ。