兵庫が2時間15分28秒で14年ぶり4度目の優勝を果たした。7区で樽本知夏(18=須磨学園高)が長崎を抜いて首位に立ち、最終9区は最年長の福田有以(22=豊田自動織機)が区間3位の快走で逃げ切りに成功。17日で丸23年を迎える阪神・淡路大震災を前に、震災を知らない9人全員が風化させないことの大切さを走りで発信した。2連覇を目指した地元京都は2位、長崎が3位に入った。

 年下が大切につないだタスキを、兵庫の22歳福田は1度も後ろを見ずにゴールへ運んだ。6年連続入賞しながら届かなかった優勝。14年ぶりの喜びを地元に届け「ずっと入賞してきても優勝がなかったので、すごくうれしい。1区から流れが良かった」と満面の笑みで後輩をたたえた。

 兵庫・稲美町に福田が生まれたのは95年6月1日。阪神・淡路大震災から4カ月半後だった。震源地からは離れていたが、当時建築中だった家の壁にはひびが入った。「母から小学生の時に『ひびが震災で出来た』と聞いた。それからすごさを感じています」。前日13日のミーティングで23年前について触れた榎本監督は「優勝して注目してもらえることが、風化させない一助になるんじゃないか」と震災後に生まれた9人でつかんだ優勝を評した。8区区間賞の石松愛朱加(浜の宮中)は「来年もしっかりメンバーに入りたい」と誓い、若手の成長も著しい。強い兵庫が都大路に帰ってきた。【松本航】