一般参加で初マラソンの中村匠吾(25=富士通)が日本人最高となる7位に入った。タイムは2時間10分51秒。東京五輪の代表2枠を決める選考会グランドチャンピオンシップ(GC、19年秋以降)の出場権を得た。40キロを過ぎてから猛烈なスパートを見せ、2時間11分以内のGC出場ラインに滑り込んだ。

 40キロ通過時の予想タイムは2時間11分16秒。GC出場は絶望的と思われた状況から中村は猛烈に追い上げた。残り2・195キロのタイムは優勝したディラングに次ぐ6分46秒。競技場に入ると、最後の力を振り絞り、腕を大きく振って全力疾走。ラスト500メートルでは駒大時代からの恩師である大八木監督から「あと5秒。がんばれ」とゲキが飛ぶ。最後はGC出場ラインをわずか9秒上回り「声を受けて、頑張る力になった。次につながるレースができた」と話した。

 15年箱根駅伝1区区間賞など駒大卒業後も期待されたが、16年末に左膝を痛め、マラソン挑戦が遅れた。今年2月のオーストラリアも含め高地合宿を積極的に実施し、スタミナを強化してきた。東京では設楽悠が日本記録を樹立したばかりだけに「力不足も感じている」と気を引き締める。次走は海外でのマラソン挑戦も視野に入れ「1日1日強くなりたいとの気持ちを持ってやりたい」と誓った。

 ◆中村匠吾(なかむら・しょうご)1992年(平4)9月16日、三重県四日市市生まれ。駒大3年時に出雲、全日本をともに1区区間賞で2冠。4年時は主将として全日本を制覇。15年に富士通入り。自己記録は5000メートル13分38秒93、ハーフマラソン1時間1分53秒。172センチ、55キロ。

 ◆グランドチャンピオンシップ(GC) 19年9月以降に開催予定の東京五輪マラソン代表選考会の名称。GCで男女各2人の代表を選ぶ。17年夏から19年春までに行われる国内指定大会「GCシリーズ」で、日本陸連が各大会に定めた順位とタイムの条件を満たした選手はGC出場権を獲得する。男子の順位と条件は以下の通り。

 福岡国際、東京、びわ湖毎日は日本人3位以内の2時間11分以内、同6位以内の2時間10分以内。別府大分毎日は同1位の2時間11分以内、同6位以内の2時間10分以内。北海道は同1位の2時間15分以内、同6位以内の2時間13分以内。また国際陸連が記録を公認する競技会で基準の成績を残せば、ワイルドカードでGCとなる。