山形中央の青野朱李(3年)が女子100メートル決勝で、追い風参考ながら自己ベストの11秒77を上回る11秒61で3連覇を果たした。妹の青野心音(2年)とともに出場した女子400メートルリレーでも、姉妹でバトンをつなぎ46秒99のタイムで2冠を達成した。

 青野朱は女子100メートル準決勝で、すでに大会記録の11秒91を塗り替える11秒87を出していた。県内で、もちろん敵なし。注目を一身に集めた決勝のスタートでは、優勝を後押しするかのように追い風が吹いた。最後まで落ち着いて走り切り、さらにタイムを縮めてトップでゴール。「追い風参考なのが少し残念だけど、記録が出てうれしかった」と爽やかな笑顔を見せた。

 蓄積した疲労の影響で、1月に両膝を痛め約1カ月間、走ることができなかった。「みんなが走れるのがうらやましかった。自分は見ていることしかできず悔しかった」。その分、ウエートトレーニングなどで上半身の筋力を強化した。

 体重はほとんど変わらないが「これまでは後半に失速していたけど、足に力が入らなくなる終盤で腕が振れるようになり、克服できた」と、自身でも成長を実感している。決勝のレースでも「ラストでタイムが伸びた。冬場にトレーニングを頑張った分、焦らず走れた」と、冷静に自己分析する。そして「今日の走りなら夏までに11秒5台もいけるかも」と、確かな手応えを得た様子だった。

 今年の最大の目標は、インターハイで「100、200、リレーの3冠を取ること」。昨年は地元山形での開催だった。200メートルでは優勝したものの、100メートル3位、400メートルリレーは6位と悔しい思いをした。ラストイヤーの今年に悔いを残さないため、自らに課題を課して克服に努めている。青野朱は「体力がまだ足りない。スタートの速さも磨かなければ」。視線の先には、3つの大きな山の頂がはっきりと見えている。【神稔典】