アクシデントは1区スタート直後の200メートル地点で起こった。大東大・新井康平(4年)が集団で他選手と接触して転倒し、左足首を負傷。顔をゆがめ、フォームを崩しながら1度は集団に追いついたが、7キロすぎから再び遅れ始めた。

「大丈夫か?」。奈良監督が声を掛けたのは11キロ過ぎ。左足を引きずり、蛇行を繰り返す新井は右手を挙げて応える。奈良監督は言う。「(止めることも)頭をよぎりましたが本人が大丈夫と言う以上、私は止められない。4年生としての思いもあるはずだし…」。

トップから8分40秒遅れの最下位でたすきをつないだ新井は応急処置を受け、病院に運ばれた。骨折はなく捻挫と診断されたが、激痛で自力では歩けずに寮へ。「心の部分でもきついはずです」と奈良監督は思いやった。順位は想定外の21位。ただ、3区の繰り上げスタートから4区奈良が5位、5区佐藤弘が7位の力走を見せた。復路も新井の思いを背負ってゴールへ向かう。【小堀泰男】