苦境を乗り越え、五輪の切符をつかむ。昨夏のアジア大会の女子マラソン銀メダリスト野上恵子(33=十八銀行)が20日、上位2人が20年東京五輪の代表に決まるマラソン・グランドチャンピオンシップへ向けた練習を長崎市内で公開。6月にシンスプリントという左すねの痛みが出たことを明かした。

スピードを意識した練習はできていないのが現状で「なぜ今なのか。正直、焦りはある」と胸中を吐露。とはいえ徐々に回復を見せている。「できることを1日1日やって、自信をつけたい」と話した。

兵庫・須磨学園高から故障との闘いだった。3年時にチームは全国高校女子駅伝を制するも、自身は補欠。卒業後に進んだサニックスでは廃部も経験した。初マラソンは29歳の苦労人は「今まで何度も何度も立ち上がってきた強みがある。私の持ち味は諦めの悪いところ」。柔らかな口調の中で、決意がにじんでいた。

◆マラソングランドチャンピオンシップ(MGC) 男女とも上位2人が東京五輪代表に内定する。号砲は9月15日で、男子は午前8時50分、女子は同9時10分。一定の成績を残した選手のみが出場でき、男子31人、女子12人で争われる。コースは発着点を除き、東京五輪とほぼ同じ。東京五輪の代表残り1人は「MGCファイナルチャレンジ」と呼ばれる指定の3大会で、派遣設定記録を突破した選手。その該当者がいない場合、MGCの3位選手が代表権を得る。