日本選手団最年長の39歳で世界選手権の舞台に立った沢野大地(富士通)はすっきりとした表情だった。

男子棒高跳び予選A組。5メートル45の13位で予選敗退。3大会ぶり7度目の世界選手権は調子こそよかったが、試合中に足がつった。結果的には力を出し切れなかった。

「楽しかったですね。こういう場に自分がこの歳で戻って来られて、また江島も一緒で日本人3人で戦えた。こんなに楽しいことはない。予選通過できなかったが、すごくいい跳躍ができていた。こういう場で出せるんだなと自分に自信を持てた」。そう口にすると涙腺がゆるんだ。

日大で普段から指導をする江島雅紀(20=日大)も一緒の舞台の世界選手権だった。コーチ兼選手で挑んだ世界選手権でもあった。選手として試合に向き合いながら、試合中、江島の跳躍を見て、近くに寄り添い、助言を送る場面もあった。沢野は「一緒に練習をしたり、授業にいたりする江島が、一緒の舞台で戦っていて。何か不思議な感じでした」と感慨に浸った。

その江島も同じ予選A組だった。5メートル45の14位。決勝には進めなかった。それでも「一緒に出られたのはうれしさしかなかった。もちろん同世代も頑張っていたし、決勝に行きたかったけど、僕の中では記録よりも記憶に残った試合になった。やれるという自信もついた」。恩師の同じように、晴れやかな表情で語った。