陸上男子100メートル日本記録保持者の山縣亮太(30=セイコー)が20日、オンライン取材会に出席し、現在のコンディションや1年7カ月ぶりの復帰レースへの思いを口にした。

山縣は21年東京オリンピック(五輪)、同9月の全日本実業団対抗選手権に出場後、同10月に右膝を手術。昨季はレースの出場を取りやめ、リハビリやトレーニングに専念した。

主な強化内容は「左右差をなくすことを重点的にやってきた」と説明。右膝の状態に関しては「レースの強度で順調にできています。体の仕上がり具合でいうと、6、7割くらいで、満足のいくレベルにはまだ仕上がっていないです」とし、現在は復活の過程にあることを強調した。

今季は4月2日の6大学対校(東京・国立競技場)で6年ぶりに200メートルに出場し、同29日の織田記念(広島)で本職の100メートルに臨む。

「2023年は技術を高いレベルで定着させていく、スピードを上げていく、そういう1年にしたいです」と今季の位置づけを説き、「100メートルほどはスピードが求められない200メートルに出ることで、緩やかにシーズンインしていく」と狙いを明かした。

今年8月の世界選手権(ブダペスト)へは「無理やりあわせてスケジューリングをしてしまうことが、膝にとっては一番良くない」とし、それほど意識を置いていない。

あくまで目標は24年パリ五輪で力を発揮することだ。

「自己ベストを五輪で出したいと思っています。そうすれば決勝進出も見えると思います」

今季はそのための1年にする。つとめて冷静な口ぶりで言い切る。

「1シーズンを走りきることを目標にしたいです。五輪への弾みにしたいと思っているので、具体的な順位やタイムはそれほど求めずにいこうと思います」

6月で31歳になる山縣は、自分なりの速度で、4度目の五輪を見据えている。【藤塚大輔】