山崎りさ(20=日体大)が日本人トップとなる2位に入った。
優勝はサラ・ワンジル(大東文化大)に譲ったものの、32分49秒06をマーク。2度目の1万メートルのレースで、3位に約1分14秒差をつける快走を見せ「2回目にして32分台でまとめられたのはよかったかな」と充実感を漂わせた。
冷たい雨が降り、他の選手がペースダウンする中、2番手として前へ出た。ワンジルとの一騎打ちへは持ち込めず「全然対応しきれなかった」と力不足を感じつつも、単独でペースを刻んだ。「落ちきらずに自分で押していけた。駅伝では1人で走ることもあると思うので、次につながる走りだった」。判然とした口調で分析した。
昨年6月には右臀部(でんぶ)などを痛め、およそ3カ月ほど走れない期間が続いた。熱心に励んだ練習は、体に負担を強いていた。
「1年生の時は、がむしゃらに練習するだけだった」
戦列を離れてからは、セルフケアはもちろん、体を治療する頻度を増やした。レースの間にはロングジョグも入れ、入念に長距離への体づくりを重ねた。
満を持して、今年4月21日の日本学生個人選手権で1万メートルに初挑戦。32分40秒40で優勝し、7月下旬開幕のFISUワールドユニバーシティゲームズ(中国)の代表内定をつかんだ。
「冬の時期に練習を積めたのが大きいというのと、けがで自分を見つめ直せた期間がシーズンにつながっています」
冷静な判断力や分析力が備わったことが、結果にも表れている。
競技への熱量も変わらない。フィニッシュすると、いつも体をトラックへ向け、レース中のチームメートを鼓舞する。野球のランナーコーチのように、身ぶり手ぶりを交えて声をかける。
それはとてもシンプルな理由だった。ぬれた黒髪をかき、こともなげに言う。
「最後まで仲間が走っているので、私も応援したいなっていう気持ちです」
そう明かす山崎は、笑みをたたえていた。【藤塚大輔】