大学3大駅伝第2戦にあたる全日本大学駅伝(8区間=106・8キロ)は11月1日に号砲を迎える。駒大出身の伊藤蒼唯(22=富士通)は前回5区で区間新記録(35分1秒)を樹立し、大会歴代最多17度目Vに貢献。22年度の大学3冠を知る世代の一人は30日までに日刊スポーツに談話を寄せ、今月12日の出雲駅伝7位から全日本2連覇を目指す後輩たちにエールを送った。
2年ぶりの王座奪還から1年。春から実業団選手となった伊藤は11月15日の東日本実業団対抗駅伝でのデビューに向けて力を蓄えている。
昨年の全日本5区(12・4キロ)では4番手でタスキをもらうと、3人抜き。創価大時代の吉田響(サンベルクス)の従来の区間記録を17秒塗り替えて、首位に再浮上し、チームの全日本制覇に導いた。
圧倒的なスピード力で藤色のタスキを先頭に届けた経験をこう振り返る。
「チーム(駒大)として思い通りの区間配置ができ、強さを見せることができた大会となりました。個人的には、1年生の箱根駅伝以来の区間賞ということもあって、嬉しさもありすごく特別な思い出となっています。大学駅伝に名前を残せたことによって、更に見られ方が変わると思って今まで競技に取り組んでいます。富士通に入ってから走力が落ちたと言われないように取り組めていることもあり、あの走りは競技力を更に向上させるために物凄く良い経験でした」
伊藤を含め、昨シーズン4年生だった佐藤圭汰、山川拓馬、帰山侑大らは22年度に大八木弘明監督(現総監督)の下、3大駅伝制覇を知る最後の世代。全日本優勝を果たしたことで、今年正月の箱根駅伝でも優勝候補の一角となっていた。しかし、本番ではメンバーのコンディション不良が相次ぎ、理想のオーダーを組めなかった。
それでも、1年時に山下り6区区間賞の実績を持つ伊藤は持ち味のスピードを発揮した。4年時の山下りは区間2位だったが、史上3人目の56分台を達成。しかし、チームは優勝に遠く及ばず、総合6位に沈んだ。
チームとして不完全燃焼だったとはいえ、通算3度の山下りで上位争いをした経験は代え難いものとなっている。
「どんな展開でも動じずに自分の走りを最大限発揮できる力がついたように思います。6区走者として名前を残すことは出来ませんでしたが、注目して頂けたこともすごくありがたかったです」
現4年生の村上響、小山翔也、植阪嶺児は藤田敦史監督(49)が就任時と一緒にやってきた1期生だ。そんな後輩たちに伊藤はこう期待を寄せている。
「『新体制となって力が落ちるのでは?』という周りの評価に惑わされず、やるべきことをしっかりやり続けてほしいと思って卒業しました。特に下級生が結果を出し始めているので、4年生にはその子たちをしっかり支える土台となってほしいと思います」
伊勢路の連覇のキーマンに選んだのはエース区間7区に登録された桑田駿介(3年)、補欠に回った最上級生の植阪と牟田凜太(2年)の3選手だ。
「植阪と牟田に関しては、今シーズンに入ってから1万メートルで28分20秒台のベストで走っているので、その力を発揮してほしいです。また、植阪は出雲でエース区間を走って体感した他校との差、凛太は出雲を走れなかった悔しさをそれぞれ思い返してレースに臨んでほしいと思います。桑田は、駒沢のエースとして外すわけにはいかないと思うので、箱根やその後のハーフで見せたロードの強さを見せてほしいです」
歴代最多優勝回数を誇る藤色のタスキは今回、王座を守れるのか。自身も11月にニューイヤー出場がかかる駅伝デビュー戦を控える中、伊勢路に挑む後輩をこう送り出す。
「昨年の全日本大学駅伝優勝校として、まずは自信を持ってスタートラインに着いてほしいです。そして、他大学の強い選手と走ることを心から楽しんで挑み、良い結果を出せることを期待しています」【泉光太郎】

