エンゼルス大谷翔平(撮影・菅敏=2019年8月4日)
エンゼルス大谷翔平(撮影・菅敏=2019年8月4日)

二刀流も十人十色-。エンゼルス大谷翔平投手(25)が、今シーズンのレッズとの対戦を終えた。レ軍のリリーフ右腕で、外野手との二刀流のロレンゼンとは、6月25日の1打席のみ対戦。左犠飛を放ち、打点をマークした。

2人の“二刀流ロード”は全く異なる。ロレンゼンは「高校、大学、米国代表チームでもセンターだった」と、メジャー入り前まで主に中堅手としてプレー。20歳の頃からクローザーとして投手人生を始めたばかりだったが、レ軍からは13年に投手として1巡目指名された。「ピッチングは僕にとって新しいことだった。理解を深めるために投手に集中したかった」。野手の練習を制限し、投球技術を磨いた。プロ入り後、投手と野手、同時進行だった大谷とは違った道だった。

メジャー5年目の今季、本格的に投手と外野手としてプレーし始めた。「投手だけはちょっと違和感があった。打撃や守備もする、それが僕には普通のこと」。投手1本より、打って守る感覚が、むしろ自然だという。右肘のリハビリを進める大谷も「投げる練習も打つ練習もして、試合に入るのが普通」と話す。二刀流としての歩みは違っても、この感覚は共通する。

思考法にも共通点はある。ロレンゼンは「投手の細かい戦略が分かるようになった。それが打者として100倍も成長させてくれた」。投手が打者をどう打ち取ろうとするか。配球を含めた考え方を学ぶことが、打席で生きていると話す。これは、投手心理を踏まえて打席に立つ大谷と一致する。リリーバー兼外野手と、先発投手兼DH。大谷は「いろんな形があってもいい」と言う。独自性と類似性-。二刀流には、グラウンド上だけにとどまらない、面白みがある。【斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)

レッズのマイケル・ロレンゼン(撮影・菅敏=2019年6月25日)
レッズのマイケル・ロレンゼン(撮影・菅敏=2019年6月25日)